東奔西登

車中泊で日本縦断の旅をしながら、ロクスノ081号の「全国ボルダー『1級&初段』100 課題」にトライした人の記録

日本縦断ボルダリング旅総括 フクベ・笠置山・鳳来

前回の更新からまるまる一か月以上空いてしまった・・・。

 

今回は岐阜県のフクベと笠置山。そして愛知県の鳳来。

 

岐阜の岩場と言えば笠置山というイメージだけど、関西方面からはフクベの方が近いから、岐阜といえばフクベの方がポピュラーなんだろうか?
こちらも笠置山のように、良く整備された岩場。

 

鳳来は良く名前を聞くけど、愛知県とは知らなかった。

どちらかというとボルダーよりリードのイメージ。


遊歩道を歩くと大きな岩がよく目につくから、きっかけ次第で新たな課題も沢山生まれるんだろうな。

 

どちらの岩場も、旅の疲れもあってあまり執着は出来なかった。
旅に出て3ヶ月程が経ち、疲れも相当に蓄積していたんだと思う。

 

6~7月に訪れた北海道ではその環境の良さからノーストレスで過ごせたから、「フリクションが良いから」と真冬に車中泊で岩場を回るのは、あまりお勧めしない。


【フクベ】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「バックドロップ 1級」〇

 

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バックドロップ落ちを何度か喰らったあとに、ムーブを変更して登った

フクベでは滞在した4日間中、3日間雨に降られ、登れたのは比較的乾きの良いこの課題だけ。

 

課題名通りの失敗するとバックドロップで落ちるムーブに執着してしまい、嵌りかけた。


リーチ差の出ないムーブに変更したらあっさりと登れたので、課題名がクライマーに与える影響は無視できないと思う。

 

そもそも真っ向勝負は苦手なクライマーなのに、身の程をわきまえてないから起きた失敗だった。


「鯰 1級」×

 

こちらも比較的乾きの良い岩だったからトライ。

みるからに苦手な垂壁バランス系。
左上の浅いポケットの持ち方がしっくりこず、乗り込みきれない。
スタートホールドからリップまでダイレクトに行くムーブは、距離が足らず。

好きでもない動きを何度も繰り返してる内に「オレ、何やってんだろ」と思い出し、どんどんモチベーションが下がっていき敗退。


「パープルパンチ 初段」未トライ

上で紹介した鯰の近くの課題。
こちらは乾きが悪く、ビシャビシャでトライせず。
見るからに難しそうだったから、強くなってから挑戦したい。


「エメル、チナツ、チハル 初段」×

エメル、チナツ、チハルとそれぞれ同じ岩にある別の課題だけど、わかりやすそうな「チハル」に的を絞ってトライ。
小さい岩だから、濡れているホールドを拭きながらトライしたけれど、雨上がりの湿度のせいかスローピーなホールドで体を上げきれずリップ取りで落ちるのを繰り返した。

 

その内にヨレてしまって敗退。
小さい岩で全パートをバラして練習できるから比較的登りやすいと思うのだけど、決めきれなかった。

次回、フクベを訪れる事があったら、この課題から登りたい。


「トリック 1級」×

見るからに苦手な垂壁バランス系(この言葉を使うのは何度目だw)

どうも思い込み的苦手意識というか、垂壁の課題は何度も失敗している内に、「リーチがあったらこのシンドイムーブを省略出来て楽なのになぁ」
と思ってしまうと執着してトライできなくなってしまうのは心の弱さなんだと思う。

 

こればかりはどうしようもないから、切り替えて何か別の解決策を探した方が生産的なんだけど。

でも、「別のムーブで登ったら低評価されるかも」とか、くだらない考えが頭の隅にチラリと横切るのもたしか。
人は人、自分は自分にならないとな。

 

 笠置山

 

「シュクラン 1級」〇

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シュクランは女性にも人気の課題

恵那笠置山ボルダーは、4、5年くらい前に麓の方で半年ほど派遣社員で働いていて、派遣会社の寮に住みながら(この時にネットで騒がれているレオパレス伝説は、全て事実だと身をもって知った) 笠置山ボルダーに通ったので、この課題は再登。

 

アンダーを使うという点と、上のクラック状は割と良いホールドという記憶しかなかったけど、なんとか二度目のトライで再登。

本当に良い課題。

 

「イルカ 1級」〇

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以前、笠置山に通っていた時は、公開されたばかりの里エリアに執着していたので、この有名課題を触った事もなければ見たこともなかった。

 

トポで場所を確認し、杉の植林内ながらも適度に開けたエリアに笠置山を感じつつ、岩の前で暫しオブザベ。

 

下から見上げるとリップ上は簡単そうに見えたから、アップついでにリップ越え~マントルを触るも、良さそうに見えたリップが絶妙に悪く、手を進めては降りるを三度くらい繰り返してからトップアウト。

 

万が一マントルで落ちたらこの辺かな~とマットの位置を調整して、下部をトライ。

 

前評判通り?に難しく、このブログを書くまでに時間が空いてしまったのもあって、何回目のトライで登れたか覚えていないけど、アップついでの上部の探りを含めて、5トライ以上、10トライ未満というところ?

 

保持力と柔軟性の両方が問われる試験的な課題だった。

 

この後は、昔こしらえた宿題を登るために里エリアに下って、里エリア最難の2級と名高い「ハサミコミ」をトライ。

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下地が悪めだけど岩がカッコイイ「ハサミコミ」

昔の宿題と言っても、前にトライした時は離陸すらできなかったから、上部を含めてムーブを作るところから。

 

下部はとにかくガンバるしかないから細かく探るのは諦めて、簡単そうに思えた上部で散々嵌り、ヨレ散らかしたところでようやく確実性の高いムーブが作れたから、スタートからトライ。

初手を止めて叫んで握りしめて完登。

 

グレードはアレだけど、コンプレッション系が好きな人にはお勧めな課題。

 

 【鳳来】

 

「たゆたい 初段」〇

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ポケットホールドの連続する鳳来のボルダー

被った迫力のある壁の、中央のスタートから弱点を突いて右のカンテにまわりこみ、カンテをトラバースして上部でトップアウトするライン。

 

いわばこの岩の一番簡単なラインなのだけど、それでも初段というのが、鳳来ボルダーの「修羅の国」感を漂わせる。

 

特徴的なガバワンフィンガーホールドが出てくる課題で、足も踏めるから持てるんだけど、まだ指の強くなっていないクライマーがやったら痛めそうな恐ろしい課題。

 

ロクスノNo.81の紹介文でも「ワンフィンガーの入門。まずはこれで指慣らし」というような事が書いてあって、実際に岩に触ると「にゅ、入門・・・」となる。

 

この日はこの課題一本しかトライしていないのに、危うく登れない所だった。

 

自分のムーブでは二手目にキョン足を使うのだけど、四国で痛めた足首がピキっという音と共に再度痛み出し、テーピングで固めてから恐る恐るのキョン足でムーブを繰り出してランジで叫んで完登。

 

話は変わるけど、このコロナ禍で岩場でも叫び難くなったから、絶叫系クライマーはパフォーマンスが落ちてそうな気がするけど、そんなの私だけでしょうか?

 

今は一人で登っている時しか声出さないし、ちゃんとその後入念にブラッシングしているつもりなので許してください・・・。

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 宮川・豊田

今回は三重県の宮川と、愛知県の豊田編。

 

これまで"○○地方"という括りだったのに、なぜか突然"○○ボルダー"というピンポイントの紹介。

 

だってロクスノでそうなってるから…(そればっか)

まぁ、この両エリアはそれだけ課題が豊富という事だと思う。


西から紹介という事で宮川ボルダーから。
今回の旅で初めて訪れたのだけど、川沿いの涼しげなエリアで西の御岳という感じ。岩質も似てる。


【宮川】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「パワーブレイン 1級」〇

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逆光で残念な画像

どでかいチョックストーンでインパクト抜群。


チョックストーンの課題にありがちな、左右の岩に足が当たりそうでが気になるという事もない。

 

上部のホールドが見た目より悪く、高さもあるので緊張する。

 

パワーブレインは身長によるけど背伸びいっぱいのスタートになるから、より下から始める「ハイパワーブレイン」の方が課題として美しいと思う。


いつか再訪した時には、「ハイパワーブレイン」もトライしてみたい。


「あめご 初段」〇

 

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「あめご」は最後まで気持ちの良い強傾斜課題

シーズンになるとSNSで「#あめご」というハッシュタグを見ない日はないというくらい人気の課題という印象。

 

今回、トライしてみてその人気も納得の課題だと感じた。

 

強傾斜に散らばるホールドは、各種フックを掛けておけば持てるという絶妙な効き。
ホールド間の距離も遠すぎず、リーチ差が出にくい。

 

実際に女性クライマーにも人気だった。

リップ取りがダイナミックなムーブなのも素晴らしい。

 

マットが豊富なのと、好きな動きのある課題だったから、セカンドトライ(ファーストトライでは逆光でリップ見逃し落ち)
で登れて、御岳育ちクライマーの面目を保ったか?


「黄色い鈴 初段」〇

 

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ダイアゴナル?で初手をとったところ

初手核心ということだけど、ダイアゴナル?というのか、アウトサイドで踏んで離陸するムーブでスタティックに初手を出せて、そのままフラッシュ。


いちおうフラッシュという事になるのだけど、こちらもマットが豊富で後半の微妙なホールドでのムーブが恐怖感なく起こしやすかったからかも。

 

課題は手順が幾通りもあり、使うホールドも人によって違い、ムーブを作る楽しさがある課題。
腕に自信のある人は登りながら修正して、少ないトライで登れると充実しそう。


宮川ボルダーは課題も多くてシーズンも長いみたいだから、近くに住んでいたら通いたくなる。


三重県の南には楯ヶ崎やナサ崎、熊野ボルダーもあるし、シークレットの岩場も多いみたいなので、恵まれた場所だと思う。

 

こういう場所に2~3年住んで、色々な課題を触ったら幸せだろうな。


【豊田】

 

はじめに注意しておきたいのは、これから紹介する各課題のアルファベットで表記される、いわゆる豊田グレードは知らないため、ロクスノで表記されていた段級グレードをそのまま表記する。

 

また、豊田ボルダーで登るのは今回の旅が初めてではなく、以前、数回訪れたことがあるのでその時に登った課題もある。

 

「サウンズグッド 初段」〇

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安全で、派手で、気持ちいい

2015年公開という比較的新しい課題。


豊田の岩場にはあまり詳しくないけど、小さな岩でバシバシ系の大きなムーブが楽しめる課題は豊田では珍しいと思う。


下地も良く、一人で来ても楽しめる。

 

ホールドは全てポジティブ。
ただ、かなりの強傾斜の中で数手を進めたのちに距離の必要なデッドがあり、持久力も試される。

 

ボルダーは平らに開けた舞台のようなところにあり、居心地も良い。


「ダイヤモンドスラブ 1級」×

 

以前、豊田に訪れた時にけっこう執着してトライした課題。

課題内容は言わずもがなの有名さなので省略する。

 

上部での恐ろしい手に足から上手く立ち上がる事ができず、そこが最高到達地点だった。

 

この課題は何人か人が集まるとゾロゾロと人が参入してくる課題なので、人が集まらないとずっと岩の前に誰も居ないような課題。


人が居ないときは独りでもトライしていたけど、着地で膝が壊れるかと思った。

これもいつか登りたい課題。

 

「俊トラ 初段」〇

 

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「俊トラ」は岩の弱点を突く課題でクライミングの本質を感じる

ハッキリとしたダイクに導かれて左上し、その後も岩の弱点を突いてトップアウトする素晴らしい課題。


初登が80年代後半ということで、その後も小さなホールドの変化はあったのだろうけど、ほぼオリジナル状態を保ってそうな印象を受けた。

 

希少な遺産的課題としていつまでも残り続けて欲しいと思える課題。

 

核心は人によって違いそうだけど、一番の核心はボルダーの場所を探すことかも。

 

因みに、グーグルマップで「俊トラ」と検索すると、誰か親切な人が登録してくれているので、現在地を確認しながらアプローチすると楽(このブログで唯一有益な情報)

 

「一難去って 1級」〇

 

小さなホールドで体を上げて小さなスタンスに立ってようやくガバスタンスだけど、それに乗り込むまでまた小さなホールドで引き付けないといけない課題。

 

指が結晶ホールドに適応できるかどうかっていう豊田っぽい課題。

 

この課題は旅に出る前に一度登っているのだけど、動画を撮るために再登しようと思ったら出来なかった。

九州のダイナミックバシバシ系課題に慣れ過ぎて、ますます緩傾斜が苦手になっているのか?

 

因みに隣の文明開化も昔登れているのだけど、今や岩を見ただけでちっともやりたいとも思わない。

 

「蛇の目 1級/初段」〇

 

これも昔登った課題で今回の旅ではトライしていない。

ホールドが欠けて少し簡単になった?という噂があるけど、登ったのは欠ける前。

 

相性が良い課題だったからかフラッシュできた。

トラバース課題で、マットが複数あって安心してトライできたのも大きい。

 

ホールドはほとんどポジティブで、少し遠いカチホールドへのランジが核心か?
そこがバチッと決まれば後は、マントルの高さはそれなりにあるけど、それほど苦労する所は無かったように思う。

 

 

と、ここまでがロクスノNo.81号で紹介された、宮川・豊田の課題。

 

愛知というか、中部地方は岐阜に笠置山、三重に宮川、がんばって南に足を延ばせば楯ヶ崎や熊野など、岩が豊富なエリアだと感じた。

東に行けば鳳来もある。

 

ごく個人的な事を言うと、豊田の岩場は限定とか初登ムーブとか言われがちな岩場なのであまり好きではないのだけど、今も開拓され続けているのは素直に凄いと思う。

 

 

 

 

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 関西・南紀編

今回は関西・南紀編。

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楯ヶ崎ボルダー

関西地方で括ると、和歌山県も関西に入るのだけど、ここはロクスノで紹介されている通りに表記する。


関西で紹介されているのは、兵庫県の北山公園と京都の笠置、奈良の御手洗渓谷。
南紀では和歌山県の日ノ御埼と三重県の楯ヶ崎とナサ崎。

 

結果から言うと北山公園は散々な結果で、京都の笠置は引き分け?御手洗は好きな岩質で気持ち良く登れた。
楯ヶ崎は二本中一本で、ナサ崎はトポを持っていないのと、さらに台風の影響で課題のある岩が変化してしまったらしく訪れていない。


外岩でボルダリングを始めたのが御岳ボルダーだったから、チャート質の岩が当たり前になっていて、2年目でようやく小川山で初めて花崗岩を触ったような気がする。
そもそも、岩を登るために東京から長野まで行くなんて事がまったく想像ができなかったし、御岳の「忍者返し」と「デッドエンド」が登れたら、ボルダリングという遊びを辞めようとすら思っていた。

 

それがいまや車中泊で日本を縦断しながら、全国の岩場を回ることになるなんて・・・。


いやはや、人生なにがどうなるかわかりません。

 

【兵庫】(課題名横の〇×は登れたか否か)

「北山公園 アドレナリンカンテ」×

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必死でカンテを保持しようとしたが…

スラブ傾斜で、スローピーなカンテを押さえながら登るバランス系。
登り方はいくつかあるようだけど、結局、最後まで自分に向いたムーブが見つけられなかった。

硬い靴と柔らかい靴の両方で試して、感触が良かったのが硬い靴の方。

これまでは足裏感覚がある靴が好きで使っていたけど、「靴を信じて立つ」という事も習得するべき技術の一つだと思った。


「北山公園 ガンフォー 初段」×

 

この課題は再登情報が少なくて登る前から警戒していたけど、予想的中という難しさだった。

序盤の左ガストンからの手に足ムーブという、肩力と柔軟性が問われるムーブが核心か?
というか、それより先に進めなかったから、その先にも難しい所があるかもしれない。

下地が狭く、岩と岩の間に落ちる感じになる。

初登時からチッピング&欠けたという情報を見たから、いまは初段というグレードではないのでは。

少なくとも、これを登って「初段だね」と言える人とは仲良くなれそうにない。


【京都】

「笠置ボルダー お目覚めマントル 1級」〇

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お目覚めマントルはペタペタ奮闘系

スタートから一、二手送って、マントル一発という課題。
岩も大きくなく、下地も砂地なので安心してバタ臭いマントルを返せる。

岩の上に回り込んで、マントルで使えそうなホールドを確認しておいたから、フラッシュできた。

地上3~4mで同じムーブをやれと言われたらけっこう躊躇するだろうから、マントルの練習に良い。
それこそ地上3~4mで同じくらいのマントルをさせられるのが、瑞牆山ボルダーの「猫頭ントル」だけど、あれ、怪我人出てないのかしら。


「笠置ボルダー 親指君 初段」×

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「親指君」の岩は写真で見たイメージより大きかった

超有名課題。
ボルダリングというのを初めて、まだ御岳も出た事ない時に雑誌か何かで目にした記憶がある課題。

あの時は「わざわざ岩を登りに関西まで行くことは一生ないだろうな」と思ってたけど、蓋を開けてみたらなぜか岩の前にいた。

けっきょく、第二親指(トライした事がある人にはこれで通じるのが面白い)が最高到達地点。

一緒になった他の岩場で三段登っているクライマーも、惜しいトライまではあったけど登れていなかった。

親指君を有名たらしめているのは、独特なムーブもそうだけど、グレードの辛さもあると思う。
「あの課題を登れたらけっこう凄い奴」みたいな。

少なくとも、これを登って「初段だね」と言える人とは仲良くなれそうにない。

 

【奈良】

「御手洗ボルダー ターターシン 初段」〇

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ターターシン

前半は岩の被った部分を、掛かりのよいホールドを大きなムーブで繋ぎ、中~後半は細かいホールドで耐えて足を上げていく複合的な課題。

 

ほぼ全てのパートをバラしで練習できるのと、御岳に似たチャートの慣れた岩質。
さらに、一緒になった方のアドバイスもあって少ないトライで登れた。

 

関西ボルダリンググレードの基本となる課題という情報を何かで見たけど、同じ関西でも花崗岩の岩場とのグレードの乖離を感じた。


「御手洗ボルダー ゴジョジュ 1級」〇

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一手ものが好きな人にはお勧め ゴジョジュ

ランジ一手ものだが距離が必要なランジではなく、ブラインドになるホールドを捉えられるかどうか、という課題。
肝心のランジも身長が170㎝前半もあればデッドで届きそう。

 

実はランジ以降が、意外と気を抜けない感じで面白い。

 

シーズンのよって下地の変化があるのかも知れないけど、マットを重ねないとスタートホールドに届かないのがちょっと…。


【和歌山】

「日ノ御埼 Younger than Yesterday 1級」〇  

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5mのルーフクラックが楽しい 「Younger than Yesterday」

 これも思い出深い課題のひとつ。

紀伊半島の最西端、紀伊日ノ御埼灯台の近くのボルダー。

 

こちらもトポを持っていなかったので、色々なブログの情報を頼りに岩を見つけた。

 

思ったよりアプローチが長く、海岸に転がる大きな岩を越えて行かないとならないので大変だった。

 

5mのルーフクラックから3mのフェイスの、持久力が試される課題。

 

上の画像でトーフックを掛けている所にブロック状の岩のチョックストーンがあったようで、それがゴッソリ取れてしまったよう。

 

元の状態を知っている人のブログによれば(ブログ情報ばっかですいません、友達が少ないもので…)前より難しくなっているよう。

たしかに、1級では辛いと感じた。

 

日ノ御埼は海岸に大きなボルダーがゴロゴロ転がっているから、トポがあったら他にも色々と遊んでみたかった。

 

トポを見ずに自由に岩を登るような気力は、もうこの時にはなかったなぁ。

 

「楯ヶ崎 ハテナ 初段」✖ 

 

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王子が岳には「ナテハ」という課題があるが、どっちが先なのか

その独特な岩の形状から、課題名の由来が一目でわかるのが面白い。

 

下地が岩盤&斜めで、核心がリップへのランジ。

何度かトライして、その恐怖から早々に敗退を決めた。

 

身長165㎝だと、蹴り足がパツパツで力が伝達が難しい。

 

後で知ったのだけど、課題を右寄りに抜けるランジと、左寄りに抜けるカチ経由の二通りがあるみたいで、左寄りなら可能性があったか?

 

でも、カッコイイのはランジなんだよな…

いつか、どちらも出来るようになりたい。

 

「楯ヶ崎 レリーフ左のクラック  1級」〇

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ジャミングとレイバックを交互に「レリーフ左のクラック」

これも思い出深い課題。

 

あまり完登情報を聞かず動画もないので、未知の課題に挑む楽しさがあった。

 

もともとボルダリングメインで登ってきたからジャミング技術に自信がある訳ではないけど、ジャミングはクライミングの原初を感じる技術だと思う。

 

だからってジャミングが好きで得意な訳ではないけど、そんな自分でも「これは絶対抜けない」というくらいジャミングが決まると嬉しい。

 

因みに、アプローチは30分くらいあるから、一人でマットを複数背負っていこうという人は心して掛かるべし。

 

「ナサ崎 スカイフォール  1級」✖

 

もともとハンドサイズだったクラックが岩がずれてクラックが広がり、リービテーション(この課題を検索していて初めてしった言葉)サイズのクラックになったらしい。

 

もともとクラックにはそんなに興味がないクライマーなのと、トポを持ってないからアプローチがわからないのもあって、岩場にすら行かなかった。

 

今考えるとちょっと勿体ない。

場所は三重県でも、熊野寄りでけっこう遠いもんなぁ。

 

この課題に興味がある人と一緒に行くのは楽しそうなんだけど。

 

日ノ御埼や楯ヶ崎は暖かくて、真冬の岩場という印象だった。

冬の車中泊でもそれほど寒くて辛いことはなく、九州&四国以外の越冬地の岩場としてもお勧めできる。

 

 

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 四国編

今回は四国編。

 

近年、全国のボルダラーから熱い視線を送られている四国。
行ってみてその理由が分かったような気がする。

 

まず、中国、近畿地方から陸路(安くない高速料金が必要だけど)でアクセスできるのと、東京からも飛行機で比較的アクセスしやすい事。
後は、四国のクライマーの地元愛からか、よく情報が発信される事。

 

この二つだと思う。

他にあるとしたら、グレーディングが適正と感じる課題が多いのも要因のひとつかも。

わざわざ時間とお金を使って登りに行くのだから、皆、気持ち良くなりたいでしょ。

 

辛いグレーディングは、百害あって一利なし。
○○(岩場の名前)グレードというのは是正されるべきだと思うんだけど。

 

【愛媛】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「美川(仁淀川)ボルダー ガンダーラ 初段」〇

 

登った順ではなく、四国の西から東に向けて課題を紹介していく。

 

まずは、美川ボルダーのガンダーラ

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ガンダーラ」はもっとも思い出深い課題のひとつ

”美川”という名前に聞き覚えがなかったけど、どうやら高知県仁淀川愛媛県に入って上流で面河川(おもごがわ)という呼び名に変わるらしく、この辺りのボルダーも、おおまかに仁淀川ボルダーと括られているみたい。

 

なぜ面河川が美川になるかは知りません。

その辺りの経緯はトポに書いてあるのかも。

 

課題のある岩は、ハイボールと言っても差し支えない大きさで、迫力あるハングをかかりの良いホールドでぐんぐん登る。


充分に高度が上がってからの、リップ取り~マントルが精神的な核心で、登り切った時の達成感は格別。


マントル下見から、一度仕切りなおすために飛び下りた時に足首を痛めてしまったから、再トライが一週間後になってしまい、四国で一日で登れなかった課題はこの課題だけ。

 

ちゃんとマットの上に飛び降りても、マットが斜めだと足を痛めるという事を学んだ。

 

スポッターが居ればマットを重ねて貰うとか出来ただろうけど、そうもいかないのが独りの辛いところ。


幸い痛めた足の腱に異常はなく、いまはキョンもヒールフックも問題なくできる。


「鞍瀬川ボルダー テングス 1級/初段」〇

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鞍瀬川ボルダーで唯一登った課題。これ以外にも"安全で”面白そうな課題がある

比較的新しいエリアの課題で、7~8mくらいのハイボール

 

私が訪れた時はほとんど登られた形跡がなく、懸垂下降でホールドの掃除からしないとならなかった。

 

岩質も脆く、トライする前に各部の点検をお勧めする。

実際、掃除中にスタンスにしたホールドがポロポロと欠けたりした

 

トライ時のマットはメインマットが二枚だけだったから、「欠けないでね」っとけっこう祈るような気持ちで登った。


もっともハードなムーブは3級くらいだろうか。
でも、そのムーブを地上4~5mくらいの所で起こさないとならないから怖かった。

 

【高知】

仁淀川ボルダー 56の冒険」〇

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ブラインドになるホールドへの一手も面白い「56の冒険」

気持ちの良い強傾斜バシバシ系。

 

幸運にも3、4人のセッションに混ぜさせて貰ったのと、豊富なマット&手厚いスポットで少ないトライで登れた。

 

マントルもそれなりの外岩経験があれば問題なく返せるはず。

 

恐怖との戦いが多いボルダリング独り旅だけど、登っていて気持ち良いと思った課題にはだいたい充分なマットとスポッターが一緒だった。


独りで登った充足感も、多くの人と登った連帯感も、どちらも好き。

 

「大山岬ボルダー 緑 1級」〇

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青い空。白い岩。最高のロケーション

この課題も、セッションしてくれた方が居たから嵌らずに済んだ。

 

下地が岩盤で、さらにデッドムーブが連続するから、一人だとマットの敷く位置を調整しながら一手一手進めないとならなくて、解決までに時間が掛かってしまう。

 

また、高知の海沿いのボルダーは1月でも日が当たると暑くてヌメるから、すっぽ抜けそうなホールドは怖い。

 

課題の内容は素晴らしく、高知まで行くのだったらトライして損のない課題だと思う。
百と八つ~のほうがSNS的に映えるのはわかるけど…。


「日ノ御子ボルダー 鬼火消し 初段」〇

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日ノ御子一の人気課題!?「鬼火消し」

これも素晴らしい課題。


チャートのような石灰岩のような、詳しくわからないけど得意な岩質で気持ち良く登れた。

 

被った岩の最奥からスタートして、岩の弱点を繋いでトップアウト。


途中、がんばって距離を出さないとならない所もあるし、細かなホールドで耐えてムーブを起こさないとならないところもある。

 

ついでにマントルもガバガバじゃない。

 

ホールド間隔が遠すぎる事もなく、女子にも現実的な目標にできる課題というのも良い。


自分、フェミニストなもんで(点数稼ぎ)

 

 

と、ここまでがロクスノNo81の1級&初段特集で紹介された四国の課題。

岩の豊富な四国で五つというのは少ないように感じるけど、紹介者の守備範囲もあるのかも知れない。


ここで終わりにしても良いのだけど、文字数がちょっと少ないから四国で登った課題の一部を紹介する。


「美川(仁淀川)ボルダー ウスンマ 初段」〇

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大きな岩の上に乗った岩がインパクト抜群。
実際に登ると岩が脆く、けっこうな確率でギシギシ言うので怖い。

 

この課題は、登っている姿を高い所から望遠、もしくはドローンで撮ってもらう課題だと思う。

 

絵になる。


「日ノ御子ボルダー 神楽 初段」〇

 

珍しい石灰岩のボルダー。

石灰岩はユニークなホールドが多くて楽しい。
同じホールドでも、保持の仕方が人それぞれ違いそう。

 

高さもそんなにないから、大きい岩は怖いって人にもお勧め。


「西之川ボルダー 徐断煩」〇

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つるっとした青白い岩が印象的

スノーアタックV7のロースタートが「徐断煩」

スタンドのスノーアタックV7でも、ダイナミックなムーブから始まって面白いと思う。

 

西之川ボルダーは、水の透明度と河原に散らばる青石が印象的。


詳しいトポがあったら、色々と登ってみたいエリア。

 

四国では、今回訪れるきっかけのなかった徳島の立川ボルダーや鳴滝ボルダー、香川の遠見山など、まだまだ気になる岩場が多い。

 

次回訪れる時は、気楽な縛りのないクライミング旅として、一~二か月くらい四国で過ごしてみたい。

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日本縦断ボルダリング旅総括 中国編(山口・広島・岡山)

前回の投稿で九州編が終わり、今回は中国編。

九州の課題は、九州在住中に登った課題がほとんどなので、旅に出て新鮮な気持ちで回った岩場は山口県から東が多い。

 

情報の少ない中国地方だけど、ローカルクライマーしか知らないような岩場がけっこうあるイメージ。
課題のある岩場がわかっても、トポが載っている雑誌のバックナンバーを手に入れないとならなかったり、アクセス難易度は高い。


後述する霜降山ボルダーもその一つ。


昔は公開岩コンペも開かれたほどの岩場みたいだけど、今や訪れる人は僅かという感じだった。


霜降山ボルダーは、メルカリでトポが載っているロクスノを手に入れられたから良かったけど、広島の戸河内ボルダーは地元のクライマーさんに会わなかったら、岩を見つけるのが難しかったと思う。


地元のクライマーといえば、岡山の矢掛で会った人に愛知の豊田で再会したり、広島の戸河内で会った人に長野の小川山で再会して驚いた。

 

みんな、物好きだなぁ…。

 

【山口】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

霜降山ボルダー スーパーカンテ 初段」〇

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フックを掛けながら、体を横にして登り続けるのは怖い

この課題のトライの記録は過去記事を読んでもらうのが一番早い。

touhonseitou.hatenablog.com

スッパリ切れたカンテのようなリップのような微妙なところをトラバースしてマントル


パッと見は良さげなリップなのだけど、絶妙に悪い。

マントルも左端まで行かないと(たぶん)返せないのも良い課題。


とても苦労して登ったのだけど、それがコンディションのせいなのか、もともとそんなものなのか分からない。

ロクスノにも書いてあるけど、要マット&スポッターを推奨。

 

【広島】

 

「戸河内ボルダー ドクロ 初段」〇

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「ドクロ」は強傾斜バシバシ系の良課題

1級&初段だったら戸河内ボルダーだけで三つ以上は選べそうな感じだけど、この課題だけに絞ったのも納得の課題。

 

先にトライしていた方アドバイスとスポットに助けられて、少ないトライで登れた。

たまにはそんなラッキーな事もある。


高く下地も石なので、環境を整えてトライしたい。

 

尾道ボルダー テットタットー 1級」×

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花崗岩バランス系は苦手 尾道の「テットタットー」

課題のある岩探しから難航した。

 

尾道にある事と、鉄塔たっとう?という課題名だけをヒントに探したが、目標にして探した場所が鉄塔ではなく電波塔だったというミスで、山中をかなり彷徨った。
自分がマヌケなだけで、感の鋭い人なら簡単に見つかると思われる。

 

課題は花崗岩バランス系。

 

日没間際の1、2時間トライしてみたけど、雨上がりで湿度が高く、岩も湿っていたから手ごたえは微妙だった。

 

四国周遊後にしまなみ海道を渡れば尾道だから、四国帰りに寄ればいいやと考えていてそのまま。

何かのついでに行きたいものだけど、どうだろうか。

 

【岡山】

 

「矢掛ボルダー エイプリフール 初段」×

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スッパリ切ったような花崗岩の垂壁課題「エイプリフール」

この課題は尾道のテットタットーと違って、充分に時間を作って臨んだのだけど結局登れなかった。

 

課題は花崗岩の垂壁カチカチ系。
高さもあるから、上部でハイステップしないとならないのが怖い。

いつか尾道とセットでリベンジできないものか。


この辺りから、これまで自分の事をバランス系クライマー(筋肉がないから)と思っていたけど、そうじゃないのかもと思い始める。

 

この後の事だけど、四国の「塗仏」と「56の冒険」、豊田の「サウンズグッド」、城ケ崎の「モンスターマン」とかのバシバシ系は、数トライで登ってるからなおさら。


得意はないけど、なんか勢いで登ってるクライマー。


「王子ヶ岳ボルダー ミラースタンド 1級/初段」〇

 

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垂壁カチ系で上部~抜けは経験差が出る ミラースタンド

この課題は、中間部のガバカチが取れるかどうかが勝負。

 

上部は「絶妙に悪い」という情報を事前に聞いていたから、気持ちの準備が出来ていてそれほどとまどう事もなく完登。

 

宮崎に住んでいた時にお世話になった、日本のボルダリング黎明期を知っている地元密着型の小さなジムのオーナー(50代)の「昔、手も足も出なかった」という話を聞いていたから、岩の上に立った時に「○○さん、登ったよ!」と報告したい気分だった。

 

もう一つ、これは信じられないような話だけど、課題のある岩までの道を、王子が岳に住む野良猫が先導してくれた。

私が歩く先を、岩の前まで先導して導いてから、ミラースタンドの垂壁に手をついて背伸びをして「こうやって登るんだろ?」とでも言わんばかりの行動をとっていた。

 

犬が人間のしぐさを真似するように、猫も真似をするんだなぁ。

 

「王子ヶ岳ボルダー スプーンカットフェイス 1級」〇

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リーチによってはマイケル・ジャクソン並みの爪先立ちになる

これは登れて嬉しかった。

過去記事からも分かるように、けっこう打ち込んだ課題だから思い入れも深い。

 

touhonseitou.hatenablog.com

トップアウト後の瀬戸内海が綺麗だった。

鋭角なカチホールドで指に空いた穴が、しばらく塞がらなくてその後が困ったけど。

 

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王子が岳の結晶は荒い。これくらいはまだ序の口

ロケーションがとても綺麗で、気持ちの良い場所にある岩。

 

でも、通っているとその景色もいつしか飽きる。

けど、課題が登れると「やっぱり綺麗だな~」となる。

 

現金なものだ。

 

ここまでが中国地方で登った課題。

 

他の場所に比べてロクスノで紹介された課題数は少ないけど、岩自体は至る所に点在している印象だった。

 

山口県霜降山の他にも、室津港の近くにある「フルアスターン」という課題が面白かった。

 

この旅でではなく、いつかのGWに訪れたので暑くて大変だったけど、ルーフムーブが楽しめる良い課題だった。

 

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ルーフが楽しい フルアスター

 その他にも、盛大に公開イベントが開催された岡山の深山公園とか、気になるボルダリングエリアは沢山ある。

 

今回訪れた山口、広島、岡山以外でも、鳥取に「一つ岩」と呼ばれる大きな岩があって「チキンドリア」という課題が面白いという噂を聞いたので、いつか行ってみたい。

 

中国地方の岩場は、山間部(いっても戸河内辺りまでしか知らないけど)は寒いけど、山陽側は冬でも暑いという、一回で回るにはシーズン選びが難しい岩場の印象。

 

特に王子が岳は暖かい真冬の岩場という印象で、冬の長期休暇があったらまた訪れたい岩場。

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猫たちとブヒ子とたぬ吉、みんな元気にしてるかな

得意なのは絶対に戸河内の岩質なんだけど・・・。

 

ロクスノ紹介された課題に執着してしまったからあんまり登れていないけど、中国地方はこの旅でも印象深い場所。

 

広島と岡山で出会ったクライマーさんと仲良くなったのも大きい。

 

日本縦断ボルダリング旅総括 九州 大分・福岡編

2019年~2020年は各地で大雨による洪水の被害があって、東は東京の神戸ボルダー、西では行った事はないのだけど、大分の玖珠川ボルダーで課題の多くが消失する被害があったようだ。

 

幸い、今回紹介する「ロクスノ1級&初段」の課題があるエリアが被害にあったという話は聞かないので、気になる課題があったら早めにトライするのが正解だと思う。

 

この「日本縦断ボルダリング旅」でも、岩が傾いたり下地の変化で登れなくなってしまった課題もいくつかある。

よく言われる「山は逃げない」は大間違いだと思うし、岩なんかは下地の変化はまだしも、ホールドが欠けたり、アクセス問題で登れなくなったりで本当に儚い。


いつまでも あると思うな 親と岩

 

さて、九州編の続きで、大分・福岡と、ロクスノ1級&初段には紹介されなかったけど、長崎で面白いと思った課題もご紹介。

 

わ、私が情報を集めきれなかっただけで、さ、佐賀にも絶対良い課題があるはずっ!勘違いしないでよねっ!


【大分】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「上畑ボルダー モノモーフィズム 初段」〇

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この後の遠い一手が核心

スッパリと切ったような薄被りのボルダーで、核心は向きの悪いホールドへの遠い一手。


日当たりの悪い杉林の中にあり、雨後は湿っている事が多いのでトライするタイミングが難しい。


「上畑ボルダー かぼす 1級」〇

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綺麗なカンテラインの「かぼす 1級」

綺麗な被ったカンテ。

途中で右のスラブに抜けると3級で、カンテを挟み込んで上部まで登るのが1級。
そこまで高いボルダーではないのに、バランスの悪いムーブだからか心理的に高く感じる。

 

下地はいつもビチョビチョ。


「奥岳川ボルダー 枯竹 1級」〇

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「枯竹」はカチカチの短いフェイス課題

比較的新しエリアの課題なので評価はこれからという感じだけど、1級はこれくらい気持ち良く登れる難易度が良いと個人的には思う。

 

ボルダーのある場所は、大分と宮崎の県境に近い奥岳川の最上流部。

 

この奥岳川は、流域に面白そうなボルダーが点在しているから、時間がたっぷりとれたら色々登ってみたい。


「北川ボルダー グリーンブルー 初段」〇

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下地の変化が激しいエリアでトライできない事も

この課題が初登されたのは、タイミング的に1級&初段特集が載ったロクスノNo81が出版される直前の夏だったと記憶している。

 

その後すぐに台風で下地がなくなり、聞いた情報だと私が登った時点でこの課題を登った人は五人もいないくらいだから、評価が安定した課題ではない。


核心がリーチ差がで出る一手だからか、初段より難しく感じた。

知り合いの四段クライマーも(さっくりと登った後)「う~ん、初段かなぁ?」と難しい方のニュアンスで首を傾げていたので、得意不得意は出そう。


「宇目ボルダー マエストロ 初段」〇

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このガバアンダーがキーホールドだった

こちらもいわくつきと言うか、脆い岩質なので、キーホールドが欠けて一時登れなくなっていたけど、接着剤でくっつけてまた登れるようにした課題と聞いた。

 

ロクスノに紹介された時は、接着したキーホールドが再び取れてしまった後ではなかっただろうか。

 

幸い、ロクスノ紹介前というか、キーホールド再び取れる前に登っていたのでラッキーだったけど、今はどうなっているのかわからない。

 

「竜体山ボルダー 雲竜 1級」〇

 

大分県日田市にある、竜体山ボルダーの課題。

 

竜体山は、昔ロクスノにちょっと紹介されていたけど、基本的には公にできない岩場みたいだから、バックナンバーを手に入れるか、詳しい人に教えて貰うしかない。

駐車場さえ分かれば、後は遊歩道の中に現れる怪しい踏み跡を辿って行けば、岩が見つかる。

 

大分のボルダリング名課題なら、ロクスノNo.81号の特集では紹介されていなかったけど、大分県中津市にある八面山の「チェルシーチェイン」という課題をオススメしたい。

 

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チェルシーチェイン」はパワーとバランス、どちらも必要な名課題

八面山はボルダーだけではなく、ルートの課題も豊富で魅力的なエリア。

別府、大分空港からも比較的近いから、観光のついでに行けなくも無さそう。

 

 

宮崎の比叡ボルダーに比べてマイナーな大分のボルダリングシーンだけど、岩数はけっこう多い。


ただ、地主さんの許可を得て整備ができる比叡ボルダーと違って、鬱蒼とした杉の植林地帯にボルダーがあることが多くて雨後の乾きが悪く、タイミングが難しかった。


【福岡】


「大入ボルダー HDJ 初段」〇

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課題名は、ハーレー・ダビッドソン・ジャパンの略らしい

大入ボルダーはボルダリングの対象になる岩は少ないけど、福岡市から近いエリアとして人気のよう。

HDJはその中でも試金石のような課題。

 

強傾斜で実質二手のボルダリングらしい課題。

 

スタートがとか抜けがとか、色々と細かな決まりがあるようで、一回登った課題だけどこの旅で再度登りなおした。


「筑紫耶馬渓ボルダー ジ・アースD 1級」〇

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花崗岩のハング越えが印象的な課題。


微妙な保持感のホールドを持っての足上げが核心か。


すっぽ抜けたら落ち方が怖そうで、ちょっとスリリングなマントリングが楽しい。


課題とは関係ないけど、大きなダムの近くなので「もし、今放水されたら一撃だな」と居心地が悪く感じた。

 

福岡の名課題として紹介されていたのは、この二課題。

 

福岡には他にも、黒木ボルダーや唐泊ボルダーなどのエリアがあるけど、アクセス問題などに考慮して選出したのだと思う。

 

ここまでがロクスノNo.81で紹介されていた、九州の1級&初段名課題。

 

選出されなかった長崎県にも「龍頭泉ボルダー」があり、課題数も多い。

 

詳しいトポがないので、今回の旅では龍頭泉ボルダーの課題はごく一部しか登らなかったけど、その中でも「わさビーフ 初段」が面白かった。

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同じ岩に九州最難課題の「逆鱗」もある(画像はわさビーフ 初段)

これくらいの強傾斜で、良いホールドを繋いで登る課題は本当に面白い。

 

長崎には他にも「展海峰ボルダー」、「千々石ボルダー」、「山田の滝ボルダー」などがある。

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展海峰は展望台からの景色が美しい

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溶岩そのまま固めちゃいました的な岩質が珍しい 千々石ボルダー

 

それぞれ岩質が違って飽きずに楽しめるので、長崎観光のついでにどうぞ。

 

長崎市の観光は、遠藤周作「沈黙」のファンだから楽しかった。

 

いつか五島列島も行ってみたい。

きっとボルダーもあるはず!?

 

次回からやっと九州を抜け、本州編。

九州だけで30課題くらいあったイメージだけど、気のせいだった。

日本縦断ボルダリング旅総括 九州 鹿児島・熊本・宮崎編

日本縦断ボルダリング旅総括、今回は九州本土(鹿児島・熊本・宮崎編)

 

 自堕落な自分にムチを打って、なんとか2回目の更新。

 

6月でポケットwifiの契約期間が切れたのを機に、ネット環境がスマホしかない生活を送っているから、この記事の下書きはデスクトップのメモ帳に書いてマクドナルドのwifiでアップロードしているのだけど、意外とそれくらいのネット環境でも良いのかも。

 

旅の途中は道の駅のwifiを使うことが多く、それで十分だった。

 

これから死ぬまで通信費というのが、己の人生に纏わりついてくるのだろうか?


人生における固定費をなるべく減らしたい。

可能なら霞を食べて生きていたい。

 

それでは、ロクスノNo81号で紹介された「1級&初段100課題」をトライしてみた感想、九州本(鹿児島・熊本・宮崎編)編。

検索結果

ウェブ検索結果ROCK & SNOW 081号 「1級・初段」100課題

 

【鹿児島】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

金峰山ボルダー ひっつき虫 初段」〇

 

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いきなりこれ初段?ってレベルの難しさ(笑)


グレーディングが辛く、"修羅の国"と揶揄される九州ボルダリングシーンだけど、シーズンが短いからそう感じさせるだけで、ベストシーズンに登れば他とそこまで変わらない。


と、いうのが自分の持つ九州エリアのイメージだけど、これは難しいと思った。

 

丸っこくて被ったバルジ上の岩を、手と足で挟み込んで登っていく。


初登者の小山田大氏の紹介文では、「コンプレッション系の入門課題」とされているけど、これが入門課題ならボルダリングを辞めようと思った。

 

金峰山ボルダー バンペイユ 初段」〇

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スローパーへのランジが核心のバンペイユ 初段

助代エリアという所にある、360度全面登れる奇跡的なボルダーの中の課題。

 

今風のジム課題のような強傾斜を、良いホールドを繋いで登って、核心はスローパーへのランジ!

こんな所までジムっぽい。

 

これも初段としては辛く感じたけど、核心のランジで、リーチ差が出るからそう感じたのかも知れない。

 

左上の倒木の影響で、オリジナルの直上とは違ってちょっと左へトラバースしてトップアウトすることになっている。

 

【熊本】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「耳取峠ボルダー あまざらし 1級」〇

 

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ジム課題のようなダイナミックなムーブになった

ロクスノでの紹介では課題名が「あめふらし」になっていて、掲載されている写真も違う課題の物というミスがあり、てっきりトポ公開後に新たに登られた課題だと思っていた。


初手からしてキビしく、なんとか登ってから「実はトポのスタートホールドは間違っていました」という事を知った。

 

そういう事もあって、正規スタートとはまったく違うムーブで登ったと思われる。
おかげで、ダイナミックでボルダリングらしいムーブになった。


もし初登としても、"半手下"という、まったくカッコよくないロースタートだからなぁ。

 

次回、訪れる事があれば正規スタートで登ってみたい。


「日之影ボルダー スーパフラット 初段」〇

 

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離陸から初手がバランシーで面白い

なぜ日之影が熊本エリア?という疑問はあるけど、ロクスノでそうなってるから・・・。


コツもの離陸からの、初手が止まるかどうか。
初手後も気が抜けないけど、初段を登れるクライマーならまず落ちないのでは。

 

エリアが大きい日之影なら他にも紹介できる課題が沢山ありそうだけど、この課題は下地の変化があまり無さそうだからだろうか。

 

日之影は河原のエリアの宿命か、下地の変化で課題が現われたり消滅したりが激しい印象。


熊本エリアで紹介されていた課題はこのふたつ。


どちらの課題も面白いけど、両エリアでもし自分が1級~初段でお勧めするなら、耳取峠は「ブルーワーム 2級」、日之影なら「陣羽」か「シークレットボーイ」かな。

 

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耳取峠の「ブルーワーム」は熊本で一番の名課題だと思う

「ブルーワーム 2級」は難しくて全然2級じゃないから、1級~初段クライマーが楽しめる良課題だと思う。

 

2級という不人気グレードだからか、TDK(とりあえず 段 課題)のクライマーに触られないのはモッタイナイ。


日之影の「陣羽」はそんなに高くない岩だけどボルダームーブが連続して面白いし、「シークレットボーイ」は日之影で男女問わず人気の課題。
両方とも下地が良いのも嬉しい。

 

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増水で中州になることも…日之影の「陣羽 初段」

 

【宮崎】


比叡山ボルダー 星やどり☆ 初段」〇

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「星やどり☆」はヤケダケエリアで一番人気の課題


屏風のように大きなボルダーの、ど真ん中を登るラインがカッコいい。

自分はカチ経由のスタティックムーブで登ったけど、ランジで決めるのが一般的。

ランジでリップが止まったら、さぞかし気持ち良いだろうなと思う。


比叡山ボルダー ツノ 初段」〇

 

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立体的かつハードなムーブが楽しい「ツノ」



これは初段なのだろうか・・・。

グレードはさて置き、いかにもボルダーという形の個性的な見た目の岩を、いかにもボルダリングというムーブで登る傑作。

 

上部は簡単そうに見えるけど、実際に上に立つと高度感に痺れる。

 

比叡山ボルダー カンダハル 初段」〇

 

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手数が多く、ムーブを覚える記憶力も必要

自然の岩は、時にどんな素晴らしいセッターをも凌駕する課題を生み出す。

そんな臭いセリフも言えちゃうような課題。

 

各ホールドの距離感、多彩なフック。
この傾斜で、諦めなければ誰にでも完登への道が開かれるような課題として存在するのが奇跡とも思える。


比叡山ボルダー 祈り 1級」〇

 

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一直線に走るクラックが印象的

岩の基部から頂点まで、ピシッと走った細いクラックが美しい。

 

このボルダーを見て、ピクリとも反応しないクライマーはいないのでは。

 

実際の登りはフェイスチックでジャミング技術は必要ないけど、核心が上部~マントルというのも渋い。


比叡山ボルダー 大谷クラック 1級」〇

 

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いまどきのクライマー返し「大谷クラック」

前傾クラックのハイボール

上で紹介した「祈り」と違って、こちらはバチバチのジャミング課題。

この課題のためにジャミンググローブを購入して臨んだが、手の甲が薄いためかフィストジャムが決まり難く、とても苦労した。

 

クラック以外にもホールドがないこともないので、ジャミングと半々くらいでなんとか完登。

 

染み出しでコンディションが悪いことが多いから、もし偶然乾いていたら、その気がなくても一度トライしてみてほしい。


比叡山ボルダー 酒越しの舞 1級」〇

 

これも綺麗なクラック。

 

こちらはジャミングというより、レイバックに近いバランス系。

左にあるボルダーが心理的なプレッシャーになって、課題のスパイスになっている。

 

 

以上が、ロクスノで鹿児島・熊本・宮崎の名課題と紹介されていた課題。


鹿児島、熊本が各2課題で、宮崎が5課題。


鹿児島の金峰山ボルダーも熊本の耳取峠ボルダーも日之影も、けっして課題数の少ないエリアではないから、2課題だけに絞るのは無茶な話。

 

宮崎の5課題もすべて比叡ボルダーからの選出で、比叡以外のボルダリングエリアの名課題を含めたら、宮崎だけでけっこうな数になってしまいそう。

 

エリア関係なく、「2級とされているけど1級~でも良いんでない?」という課題の中に面白い課題があるから、そういう課題も見落とさず登るのが理想ではあるのだけど。


ホームの岩場なら隅々まで登るから見逃すことはないけど、旅の途中の岩場ではなかなかそうもいかないから、「この課題は面白い」という情報がもっと発信されないかな。

 

次回は大分、福岡と長崎をご紹介。


まだ九州エリアが続くのね・・・。