東奔西登

車中泊で日本縦断の旅をしながら、ロクスノ081号の「全国ボルダー『1級&初段』100 課題」にトライした人の記録

日本縦断ボルダリング旅総括 九州 屋久島編

今年の7月24日に、昨年11月7日に宮崎県から出発した「日本縦断ボルダリングの旅」を一応の終わりとした。


"一応"としたのは、旅の目的の一つであるロクスノNo.81号で紹介された「1級&初段100課題」の全てを登った訳ではなく、登り残した課題も多いから、いつかはそれらの課題に再挑戦したいと思っている。

 

この旅を終えて登れた課題は、69/100課題。


時間や天候の都合でトライできなかった課題や下地の変化等で消滅してしまった課題も多いものの、正直、「8割は登れるんじゃないかな?」と思っていただけに、7割にもとどかないとは!

※今度詳しく書くつもりだけど、ロクスノで紹介しているのに開拓中のシークレットエリア内の課題という課題もあった。

それ以外にも、岩の傾きなどにより課題が消滅しているのもあって、その分を差し引けばなんとか7割は達成できたと思う。

 

登れなかった課題を振り返ってみると似た系統の課題が多く、自分の苦手が浮き彫りになった形で、客観的に自分を評価できる良い体験だったと思う。


1級&初段100課題にトライするという、ある意味、縛りのような決まりがあったおかげで、見るからに苦手な課題やハイボールにもトライしないとならないのは、この旅ならではの体験だった。


この「日本縦断ボルダリングの旅」をまとめるにあたって何に主軸を置くかで迷っていて、人によっては「とにかく岩や課題の事が知りたい」という人もいれば、
車中泊ボルダリング旅をする日常」を知りたい人も居るだろう。

 

私の自信の好みで言えば、「どこそこの何々という課題を登った。」より、「旅の途中で出会った景色や起こった印象的な事。」の方が好きなのだけど。

 

時系列で思い出し日記(そんな言葉があるかはわからないけど)形式でも良いのだけど、自分の性格を考えると最後まで続かなさそうだから、「1級&初段100課題」で登れた課題、登れなった課題から書いていきたいと思う。

 

100課題全てを一回でまとめるのは長くなってしまうから、九州、中国・四国、近畿、中部、関東、東北・北海道というおおまかな括りで分類しようと思う。
※因みに沖縄にはまだ行ってないので、チャンスがあれば行ってみたい。

 

日本縦断ボルダリング旅総括、今回は九州。


ロクスノの「1級&初段100課題」はエリアによって何課題まで。という決まりを設けなかったのか、けっこう九州地方に偏っている。


実際に登ってみて、「これはお勧めしたい名課題!」というのもあれば、「このエリアなら他にお勧めできる課題がありそうなのに」というのもある。

 

でも、これは初登者の思い入れ補正とかもどうしても影響するだろうし、個人の好みも出るから、可能なら色々な課題を登って、自分が面白いと思った課題を思い出にして欲しいと思うけど、遠征だとそうもいかないのが現実。


だからという訳ではないけど、九州編では、ロクスノに紹介されている課題と共に、私の個人的なお勧め課題も紹介したい。


はるばる遠方から来たクライマーが、「一生の記憶に残る課題」と感じてくれたら幸いだなぁ。


※因みに屋久島を含む九州地方の課題は、3年間九州に住んでいた時にトライした課題が多く、旅に出てから登った課題は僅か。

 

前置きが長なってしまった。

 

この旅は南から北上していったので、屋久島の課題から紹介。


屋久島】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「瀬切海エリア バライカ 1級」〇

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とっさに出たニーバーに救われた バライカ

屋久島の課題でこれを外すことはできない。


一人で登ったという思い入れ補正を除いても、岩の美しさ、ロケーションともに国内を代表する(全国を回ったからこの言葉が言えてしまうのだ!)課題のひとつ。

 

ムーブ強度的には3級くらいだけど、約6mのハイボールで、下地はどうがんばってもマットを平らには敷けないようなゴロタ石。
一人でやるなら、5.11b~cくらいのフリーソロと思った方が良さそう。

 

自然に感謝したくなるようなエッジの立ったリップを掴み、マントルを返したら一面に広がる太平洋。完璧!


「瀬切海エリア プラチナ 初段」×

パレットが敷いてあるものの、下地が微妙に悪く、眺めただけでトライはしていない。
日当たりが良くてヌメりそうだったから、山エリアの課題を優先した。


「瀬切山エリア 春雷 1級」〇

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カンテパシパシ系 春雷

屋久島の課題の中では珍しい小さなボルダー。


カンテの効く所を探りながらムーブを作るのが楽しかった。
ハイボールもいいけど、安全な環境で「あーでもない、こーでもない」とするのはやっぱり楽しい。

 

「瀬切山エリア サルノシカト 1級」〇

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ラスト一手が繋げると辛い サルノシカト

横長のフェイスを、ハッキリとしたホールドを繋げてトラバースした後に、小さなハングを越えてトップアウトする。


ホールドは良いけどキツイ姿勢が続くトラバースパート、後半の足上げからのデッドと「繋げると難しい」のトラバース課題の見本のような課題。
1級では辛いと感じたけど、それは5連登目だったからかも知れない。いや、やっぱ辛い。


「瀬切山エリア フレア 初段」×

リップ?カンテ?への核心の遠い一手が出来なかった。
こちらもトップアウトすると、屋久島の海と山が「どど~ん」と目の前に現れて感動ものなのだろうなぁ

 

「山河公園エリア オートワン 1級」〇

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マントルを一回で解決できたのが嬉しかった オート1

はっきり言ってロケーションは良くない。

鬱蒼としていて岩は湿っぽいし、12月末なのに蚊が沢山いた。


が、それを差し引いても「オート1」は登りに行くべき素晴らしい課題。

 

バランシーなムーブ、距離出し、マントルボルダリングの全てが詰まっている。
この課題をツマラナイと言える人はいないんじゃないだろうか。

 

因みにボルダリングエリアは山河公園内ではなく、15分くらい山の方に歩く。

エリア前にある山河公園には、湧き水があって美味しいのでお勧め。


屋久島総評】

 

比較的新しい瀬切エリアばかりが注目されているイメージだけど、昔からの海沿いのエリアもかなり面白い。

 

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瀬切エリアとは違う砂岩のボルダーは、砂岩好きクライマーには堪らない。

 

屋久島ボルダーの良いところは、歩くのがそれほど苦でなければほとんどのエリアを島内の周遊バスで回れるところ。

 

一人でレンタカーを借りると割高だけど、屋久島交通のバスなら4日間乗り放題で4000円。

 

瀬切エリアはバス停から30分くらい歩くけど、ボルダリングマットを背負っていると、帰りは勝手に地元のおじさんが車を停めて話しかけてくれるので、そのまま自動でヒッチハイクになる。


後は、温泉で地元の人に○○まで送って貰えませんか?と聞いてみる。


実質、島内の道路が外周を繋ぐ一本だけだから、行先がぜんぜん違うという事がない。


今はコロナウイルス騒動で、屋久島も大変なことになっていると思う。

 

観光客が少ない冬の屋久島は、宿も安くてクライマーの天国のような環境だから、コロナ騒動が収まったら、ぜひお金を使いに行って欲しい。

 

GoTo YAKUSHIMA。

 

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レスト日には縄文杉を見に行くのも一興。往復10時間かかるけど。


ただ、年末年始の屋久島は、飲食店(飲み屋含む)だろうがスーパーだろうが問答無用で店が閉まるから、ちゃんと用意しておかないと年末年始をカップ麺で過ごすことになるぞ!(体験談)

 

九州全てを紹介したかったけど、屋久島だけでけっこうな文字数になってしまったから、九州本土はまた次回。