さて、日本縦断ボルダリング旅総括記事も、いよいよ皆さん(約4名)お待ちかね?の超ド級のメジャーエリア、小川山の登場です。
「お?めずらしく更新ペース早いじゃん」と思ったでしょう?
実はワタクシ、近々クライミングジムのスタッフになる予定だったのですが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のせいで、お仕事がなかなか始まりません。
なのでヒマなんです。
緊急事態宣言の発出される前の昨年から、ワタクシの準備は整っていたのですが、御岳まで半刻あまりの大都会トーキョー出身である私はしばらく待機となってしまいました・・・。
つまり、収入がないので指皮に火をともすような生活を送っております。
・・・とここまで先月中に書いて置いて放置。
けっきょく更新は一カ月ペースとなっています。
月刊東奔西登。
さて、だれが見ているか分からないSNSでは言えない愚痴を吐いたので本題に戻しますと、この日本縦断旅に出る前に小川山の1級~初段の課題はいくつか登っているけど、ロクスノNo.81で紹介された中で既に登っていた課題は「エイハブ船長」だけだった。
瑞牆山の課題も含めて室井さんのチョイスは「人気の名課題」というよりは「室井さんの考える、あまり知られていない名課題」というような課題が混じっている印象を受けた。
後述するけど、小川山の「マラ岩下ボルダー」次回(一か月後)に書く予定の瑞牆山の「陽炎座」とかは、共にグレードが初段に比べたら人気のない1級なのと、アプローチが遠く、わざわざこの課題をトライしに行く人が少ないから、良い課題なのにあまり知られていない「名課題」なのだと思う。
そう、あくまで「1級&初段100名課題」なのであって、「1級&初段100人気課題」ではないんだよなぁ。
その辺、自分でも忘れそうになる。
そんな課題たちが、雑誌の企画によって日の目(私ひとりだけの目?)を見ることになるのは楽しい。
しかし、全国を回り紹介されている色々な課題をトライしてみて、正直、これはそれほどでも・・・、という課題もあった。
そういう課題は、紹介者の思い入れ補正とか、初登者補正(と言う言葉はないだろうけど)が入ってるような気がする。
今回紹介する、小川山については、人気エリアという事もあり、多くの人がトライする機会のある課題が紹介されている。
課題名は知ってるけど、触ったことないな~って課題があったら、この機会にぜひトライしてみてはいかがでしょうか!?
【小川山】(課題名横の〇×は登れたか否か)
「マラ岩下ボルダー 1級」 ✖
ロクスノで「わざわざ行く人も少ないが、わざわざ行く価値あり」と紹介されている課題。
パッと見は、掛かりの良さそうなフレークが登攀ラインの左右に配置されていて、昨今のジム課題のラインセットのように分かりやすい。
如何にも登れそうな雰囲気のある岩なのに、なかなかどうして左手のガストンムーブがパワフル&ロングリーチで止められはしても、そこから動けなかった。
肩が弱いのが弱点だと自覚しているけど、この課題は小川山の他のヘタな初段より難しいのでは・・・。
肩を鍛えて出直します。
「上弦 初段」 ✖
不可能スラブなどの人気課題があるエリアにあって、トライされる機会が多い為か「悪い」と評判の課題。
岩の左カンテからスタートし、そのままトップアウトできる課題を、一旦右下に降りてから左上する不思議なライン取りで、岩の高さ、岩が露出している下地の悪さも相まってか不人気と呼んでも差し支えなさそうな課題。
試しに恐る恐るクラックからの上部カンテ取りを試したけど、肝心のカンテも持ててる感じがせず、そこから安定したムーブを起こせる気がしなかった。
課題の序盤から気を抜くことができないムーブが続き、その時の気持ちの問題というか「やったるで!」という勢いがないとモチベーションを保つのが難しい課題に思う。
いつか、一人とか少ないマット数でも登り切れる!という自信が付いたときに再トライしたい課題。
「親指トムの秘密の冒険 1級」 〇
こちらも先述のマラ岩下ボルダーのように、わざわざ行く人も少ないだろう課題。
変わった課題名だけど、ラインは格好良い。
クラック好きなクライマーならきっと登りたくなるライン。
課題名の”親指”が気になるけど、親指がキーになるようなホールディングは私のムーブではなかった。
この辺が京都笠置の「親指君」との違い。
小川山クラック、クレイジージャムなどの有名課題がある「親指岩」の近くの、ひっそりと隠れたボルダーで行われる登攀だから、秘密の冒険なのかも。
内容はシンクラックを使ってレイバック気味に足を上げつつ、体を切り返しての正対ムーブを交えながら高度を稼いでいくのが面白かった。
マントルは難しくはないけど失敗できない高さ。
最後に簡単ながら露出感のあるスラブを2、3歩登ってトップアウト。
山の斜面から突き出たボルダーだからトップアウト後の景色が素晴らしかった。
「エイハブ船長 1級」 〇
特に説明は要らないだろう有名課題。
限定もなく、弱点を突いたラインで岩の真ん中を直上する。
ボルダリングの課題として、一番カッコよい形だと思う。
残念な事件があったけど、御岳の忍者返しも、弱点を突いた一番合理的なラインであの強度とムーブいうのが奇跡的だった。
エイハブ船長は5、6回は再登していると思うけど、その度に縦カチが「こんな悪かったっけ?」と思ってしまう。
「緑のマント 初段」 ×
難しいと評判の課題。
悪いアンダーからのスタートセット、初手止め、そこからのランジ、そして最大の核心のマントルと、これから初段課題を狙うクライマーには絶望しかないように思える。
核心のマントルは、左手飛ばしで抑えるカチホールドが遠く、リーチ差が出る。
パツパツで止めてから体を上げていく動作が肩に辛く、連登している内に肩を痛めてしまった。
一度、奇跡的に手首の返せたトライがあったから、その時に登り切れていれば・・・。
これも肩を鍛えてリトライしたい課題。
そういえば、新しいトポに「右のフレークは使わない」という限定表記がないので、知らない人は当然、使ってしまうのでは・・・。
「石の魂 1級/初段」 〇
こちらも関東近辺のクライマーのブログで、トライ記録をお目にかかる事の多い有名課題。
なんかぐっと来る課題名のインパクトも人気の理由かも。
実際にトライした事がない人でも「スプレー持ち」というキーワードを聞いたことがあるかも。
内容は花崗岩の垂壁クライムで、悪いというか痛いホールドを持って、痛いホールドへデッドする課題。
中継のポケットを使わず、リップにランジで初段。
ポケットを使って1級ということなので、私が登ったのは1級バージョン。
初段バージョンは、小川山で登りたい課題がほとんど無くなったら試してみたい。
全国をフィールドとする人間には、とても同じ課題の限定バージョンを登る暇がない。
「ヴィクターランジ 1級」 〇
これは個人的に思い入れの深い課題。
ダブルダイノなんてジムでもしたことがないのに、外でスポッターなしでやることになるとは。
下地はフラットだけど、石がゴロゴロしているし、着地に失敗するとちょうどヨロけて転びそうな所に大きな石があってプレッシャーだった。
その大きな石にぶつかって骨折した人がいるという話を聞いた後だったので、恐怖心が倍増。
恐る恐ると飛び出しては、リップを掴み損なった時に落ちる場所を見極め、2枚のマットを微調整し、何度もトライ。
安全の為にとにかく静かに飛ぶことを心掛けたから、成功時のトライはリップを掴んでも大きく振られず、とても地味な動画になった。
それでも、苦手なタイプの課題を自分一人の力で登りきる事ができて、ランジ&マントルという短い課題ながらも登り切った時の気持ちは格別だった。
この七課題がロクスノNo.81「1級&初段100課題」の小川山エリアで紹介された課題。
やはりというか当然というか、マラ岩下、上弦、緑のマントと難しいと評判の課題が登れなった。
この三つはトライする人を選ぶマニアックな課題だと思うので、そういう課題が好きな自分としては、いつか登っておきたい。