東奔西登

車中泊で日本縦断の旅をしながら、ロクスノ081号の「全国ボルダー『1級&初段』100 課題」にトライした人の記録

日本縦断ボルダリング旅総括 瑞牆山

この記事もっ!前回の投稿をした勢いで書いているっ!

 

もー生きるのシンドイ。

 

理不尽な事があったらメンタルをマイメロにして乗り切りたい。

「私はマイメロだよ~☆難しいことはよくわかんないし、岩登りたいで~す」

 

 

さて、今回も行ってみましょう、なんとか北海道まで進めて完結したいこのブログ!

 

今回紹介する1級&初段の課題は、花崗岩大国山梨が誇るビッグエリアである瑞牆山

 

 

説明不要の課題たちが並ぶのかと思ったら、意外や意外、多くの人は紹介されている課題で登ったことがある課題の方が少ないのではないだろうか。

 

紹介された4課題中、2課題はハイボールだし・・・。

 

 

瑞牆山】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「サザンクロス 1級」 〇

f:id:climban:20210317104205p:plain

岩のど真ん中を、ポケットホールドに導かれるように登る

瑞牆山の植樹祭駐車へ向かう道を、最初の分岐で左に曲がってしばらく走ると、林道沿いに見えるどデカい岩。

 

岩のど真ん中にポケットホールドが絶妙な距離&負荷で並び、ラインを迷うようなことなく直上できる。

良いボルダリング課題はこうでなきゃと思わせる一本。

 

強度的な核心は下部~中部。

 

上部はホールド&スタンス共に良くなるけど、それでも、最後のマントルでハイステップムーブが要求され、気が抜けない。

 

それだけに登った時の達成感は格別。

 

私は手持ちのマットが2枚しかなかったのでそれで臨んだけど、アプローチが近いので複数のマットが用意できたら、あるだけ敷いた方が良いと思う。

 

「黄金虫 初段」 ×

f:id:climban:20210324092317j:plain

クラッシュパッドって測量器具になるよね

こちらもかなりのハイボール

 

おそらく初手~数手が核心なのだろうけど、下から見上げた感じでは上部のスラブに顕著なホールドが見あたらなくて、恐ろしい。

 

下部が解決できたら、落ち葉が降り積もっている上部を掃除してからトライしようと思ったけど、初手から解決できず。

スタートセットからけっこうリーチ差が出る課題かも。

 

登った人の記録ないかな?と思って検索してみたけど、三段クラスの課題&ハイボールを沢山登っているクライマーさんが初手を解決できずに敗退している記録が見つかった・・・。

 

左の別の課題のスタートから右へトラバースしてから、黄金虫のラインに合流して登ったという記録はあったので、やはり初手核心?

 

今のところ、離陸すらいっぱいいっぱいだったけど、いつか登れる日が来るのだろうか?

ポケット鍛えて出直します。

 

陽炎座 1級」 ×

f:id:climban:20210325115645j:plain

陽炎座のある岩全景(地味)左から右へトラバースする

 知る人ぞ(その悪さを)知るマイナー課題。

こちらも登った人の記録が少なく、YouTubeでは四段を登るような有名クライマーさんの動画が一本あるだけ。

 

スラッシュフェイス、高野聖などの高難度人気課題があるエリアにあるので、その辺の課題で敗退した人が、1級だから・・・とトライする人も多そうだけど、登ったという話を聞かないので、特に自分が難しく登っている訳ではなさそう。

 

瑞牆山ボルダリングガイドが出る前は初段だったようなので、なぜグレードダウンしたのか謎の課題。

 

 ホールドorスタンスに大きな変化でもあったのだろうか。

f:id:climban:20210325115800j:plain

この外傾ポケットがとにかく悪かった

成功率が極端に低いけど、できないパートはなかったから、こちらもポケットを鍛えて出直します。

 

 

「阿修羅 初段」 〇

f:id:climban:20210324094655p:plain

ひとりだとロケーションも素晴らしく良く感じる

説明不要の有名課題。

 

ポケット、クラックと繋がる無駄のない奇跡的なホールド配置、バランスと距離出しが求められ、適度な高さに渋いマントルと文句の付けようがない課題だと思う。

 

日本に住んでいて、外岩のボルダリングを楽しんでいるのだったら、阿修羅は無理してでも登っておきたい課題のひとつと言えるのではないだろうか。

 

 

誰もいない静かな森の中で、この素晴らしい課題に向き合うのは幸せなひとときだった。

 

 

と、ここまでがロクスノNo.81の特集で紹介されていた、瑞牆山の1級&初段の課題。

ここで終わってもいいのですが、文字数が少ないので少し雑談。

 

ロクスノNo.81を読んだ方は、「瑞牆山であの課題が入ってない!?」という方がけっこういるのではないだろうか。

 

私もその一人で、「夏への扉」なんて高さ、ロケーション、ムーブともに素晴らしい課題だと思うし、登れていないけど「東雲」もボルダームーブの連続という感じでカッコいい。

 

人気課題の「日々の暮らし」も、リップトラバースながら岩の弱点を突いた合理的なラインで美しい。

ガリガリ君」も特徴的な形の岩をフックテクニックで登る良い課題だった。

 

パッと思いついただけで、瑞牆山ボルダーには名課題と言える課題が、自分が知っている範囲でこれだけ出てくる。

 

キャンプと組み合わせてその雰囲気を楽しめる小川山と、遊歩道沿いにアクセスの良いボルダーが点在し、まるでボルダリング公園の様な瑞牆山

 

どちらも日本唯一と言えるエリアではないだろうか。

小川山も瑞牆山も、利用者それぞれがマナーを守り、いつまでもボルダリングを楽しめる場所だといいなぁ

日本縦断ボルダリング旅総括 小川山

さて、日本縦断ボルダリング旅総括記事も、いよいよ皆さん(約4名)お待ちかね?の超ド級のメジャーエリア、小川山の登場です。

 

「お?めずらしく更新ペース早いじゃん」と思ったでしょう?

 

実はワタクシ、近々クライミングジムのスタッフになる予定だったのですが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のせいで、お仕事がなかなか始まりません。

 

なのでヒマなんです。

 

緊急事態宣言の発出される前の昨年から、ワタクシの準備は整っていたのですが、御岳まで半刻あまりの大都会トーキョー出身である私はしばらく待機となってしまいました・・・。

 

つまり、収入がないので指皮に火をともすような生活を送っております。

 

 

・・・とここまで先月中に書いて置いて放置。

 

けっきょく更新は一カ月ペースとなっています。

月刊東奔西登。

 

さて、だれが見ているか分からないSNSでは言えない愚痴を吐いたので本題に戻しますと、この日本縦断旅に出る前に小川山の1級~初段の課題はいくつか登っているけど、ロクスノNo.81で紹介された中で既に登っていた課題は「エイハブ船長」だけだった。

 

瑞牆山の課題も含めて室井さんのチョイスは「人気の名課題」というよりは「室井さんの考える、あまり知られていない名課題」というような課題が混じっている印象を受けた。

 

後述するけど、小川山の「マラ岩下ボルダー」次回(一か月後)に書く予定の瑞牆山の「陽炎座」とかは、共にグレードが初段に比べたら人気のない1級なのと、アプローチが遠く、わざわざこの課題をトライしに行く人が少ないから、良い課題なのにあまり知られていない「名課題」なのだと思う。

 

そう、あくまで「1級&初段100課題」なのであって、「1級&初段100人気課題」ではないんだよなぁ。

 

その辺、自分でも忘れそうになる。

 

そんな課題たちが、雑誌の企画によって日の目(私ひとりだけの目?)を見ることになるのは楽しい。

 

しかし、全国を回り紹介されている色々な課題をトライしてみて、正直、これはそれほどでも・・・、という課題もあった。

 

そういう課題は、紹介者の思い入れ補正とか、初登者補正(と言う言葉はないだろうけど)が入ってるような気がする。

 

 今回紹介する、小川山については、人気エリアという事もあり、多くの人がトライする機会のある課題が紹介されている。

 

課題名は知ってるけど、触ったことないな~って課題があったら、この機会にぜひトライしてみてはいかがでしょうか!?

 

【小川山】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「マラ岩下ボルダー 1級」 ✖

f:id:climban:20210325115108j:plain

パッと見、ホールドの掛かりが良さそうで簡単に登れそうだけど…

ロクスノで「わざわざ行く人も少ないが、わざわざ行く価値あり」と紹介されている課題。

 

パッと見は、掛かりの良さそうなフレークが登攀ラインの左右に配置されていて、昨今のジム課題のラインセットのように分かりやすい。

 

如何にも登れそうな雰囲気のある岩なのに、なかなかどうして左手のガストンムーブがパワフル&ロングリーチで止められはしても、そこから動けなかった。

 

肩が弱いのが弱点だと自覚しているけど、この課題は小川山の他のヘタな初段より難しいのでは・・・。

 

肩を鍛えて出直します。

 

「上弦 初段」 ✖

f:id:climban:20210325115250j:plain

二つのピークがある岩。左のピークからクラックを辿って右のピークへ

不可能スラブなどの人気課題があるエリアにあって、トライされる機会が多い為か「悪い」と評判の課題。

 

岩の左カンテからスタートし、そのままトップアウトできる課題を、一旦右下に降りてから左上する不思議なライン取りで、岩の高さ、岩が露出している下地の悪さも相まってか不人気と呼んでも差し支えなさそうな課題。

 

試しに恐る恐るクラックからの上部カンテ取りを試したけど、肝心のカンテも持ててる感じがせず、そこから安定したムーブを起こせる気がしなかった。

 

課題の序盤から気を抜くことができないムーブが続き、その時の気持ちの問題というか「やったるで!」という勢いがないとモチベーションを保つのが難しい課題に思う。

 

いつか、一人とか少ないマット数でも登り切れる!という自信が付いたときに再トライしたい課題。

 

親指トムの秘密の冒険 1級」 〇

f:id:climban:20210316094132j:plain

ロクスノNo.91に掲載された画像!動画は撮っておくものですね。

こちらも先述のマラ岩下ボルダーのように、わざわざ行く人も少ないだろう課題。

 

変わった課題名だけど、ラインは格好良い。

クラック好きなクライマーならきっと登りたくなるライン。

 

課題名の”親指”が気になるけど、親指がキーになるようなホールディングは私のムーブではなかった。

 

この辺が京都笠置の「親指君」との違い。

 

 

小川山クラック、クレイジージャムなどの有名課題がある「親指岩」の近くの、ひっそりと隠れたボルダーで行われる登攀だから、秘密の冒険なのかも。

 

内容はシンクラックを使ってレイバック気味に足を上げつつ、体を切り返しての正対ムーブを交えながら高度を稼いでいくのが面白かった。

 

マントルは難しくはないけど失敗できない高さ。

最後に簡単ながら露出感のあるスラブを2、3歩登ってトップアウト。

 

山の斜面から突き出たボルダーだからトップアウト後の景色が素晴らしかった。

 

「エイハブ船長 1級」 〇

 

f:id:climban:20210316095257p:plain

言わずと知れた名課題

特に説明は要らないだろう有名課題。

 

限定もなく、弱点を突いたラインで岩の真ん中を直上する。

ボルダリングの課題として、一番カッコよい形だと思う。

 

残念な事件があったけど、御岳の忍者返しも、弱点を突いた一番合理的なラインであの強度とムーブいうのが奇跡的だった。

 

エイハブ船長は5、6回は再登していると思うけど、その度に縦カチが「こんな悪かったっけ?」と思ってしまう。

 

「緑のマント 初段」 ×

f:id:climban:20210316104133p:plain

ここから左下にホールドを引くのがツラい

難しいと評判の課題。

 

悪いアンダーからのスタートセット、初手止め、そこからのランジ、そして最大の核心のマントルと、これから初段課題を狙うクライマーには絶望しかないように思える。

 

核心のマントルは、左手飛ばしで抑えるカチホールドが遠く、リーチ差が出る。

パツパツで止めてから体を上げていく動作が肩に辛く、連登している内に肩を痛めてしまった。

 

一度、奇跡的に手首の返せたトライがあったから、その時に登り切れていれば・・・。

 

これも肩を鍛えてリトライしたい課題。

 

そういえば、新しいトポに「右のフレークは使わない」という限定表記がないので、知らない人は当然、使ってしまうのでは・・・。

 

 

「石の魂 1級/初段」 〇

 

f:id:climban:20210316103209p:plain

有名な右手のスプレー持ちをしているところ

こちらも関東近辺のクライマーのブログで、トライ記録をお目にかかる事の多い有名課題。

なんかぐっと来る課題名のインパクトも人気の理由かも。

 

実際にトライした事がない人でも「スプレー持ち」というキーワードを聞いたことがあるかも。

 

内容は花崗岩の垂壁クライムで、悪いというか痛いホールドを持って、痛いホールドへデッドする課題。

 

中継のポケットを使わず、リップにランジで初段。

ポケットを使って1級ということなので、私が登ったのは1級バージョン。

 

 

初段バージョンは、小川山で登りたい課題がほとんど無くなったら試してみたい。

全国をフィールドとする人間には、とても同じ課題の限定バージョンを登る暇がない。

 

 

「ヴィクターランジ 1級」 〇

 

f:id:climban:20210316105020p:plain

ここからダブルダイノでリップへ

これは個人的に思い入れの深い課題。

 

ダブルダイノなんてジムでもしたことがないのに、外でスポッターなしでやることになるとは。 

 

下地はフラットだけど、石がゴロゴロしているし、着地に失敗するとちょうどヨロけて転びそうな所に大きな石があってプレッシャーだった。

 

その大きな石にぶつかって骨折した人がいるという話を聞いた後だったので、恐怖心が倍増。

 

恐る恐ると飛び出しては、リップを掴み損なった時に落ちる場所を見極め、2枚のマットを微調整し、何度もトライ。

 

安全の為にとにかく静かに飛ぶことを心掛けたから、成功時のトライはリップを掴んでも大きく振られず、とても地味な動画になった。

 

それでも、苦手なタイプの課題を自分一人の力で登りきる事ができて、ランジ&マントルという短い課題ながらも登り切った時の気持ちは格別だった。

 

 

この七課題がロクスノNo.81「1級&初段100課題」の小川山エリアで紹介された課題。

 

やはりというか当然というか、マラ岩下、上弦、緑のマントと難しいと評判の課題が登れなった。

 

 

この三つはトライする人を選ぶマニアックな課題だと思うので、そういう課題が好きな自分としては、いつか登っておきたい。

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 遠山川・城ヶ崎

また前回の更新から間が空いてしまった・・・。

 

なるべくリアルタイムに近い更新をしていかないと、熱が冷めてしまう。

そもそも、このブログ読んでくれている人なんて、自分を含めてたぶん3、4人なんじゃかなろうか。

 

多くの人がクライミングブログに求めるものは、岩場と課題のある岩までのアクセスだったり、課題を一気に簡単にするような革新的ムーブだったりするわけで(それはお前だけというツッコミがきそう)。

 

とりあえず、拙文でも旅の総括を最後まで終わらせないと、次に進むための区切りがつかないか

 

さて、気を取り直して今回のボルダリング旅総括は、長野県の遠山川と、静岡県の城ヶ崎ボルダーをご紹介。

 

なぜこの順番かは、日本列島の南西から課題を紹介していくとこんな流れかな~って感じで、特に深い意味はなし。

 

遠山川については以前の記事に詳しいので、ここでは簡単に。

 

touhonseitou.hatenablog.com

 

以前の記事を読むのもメンドクサイという人の為に結果から言うと、ロクスノNo.81で紹介された5課題中、3課題は岩が傾いて消滅。

 

残る2課題は自分にはリーチーな課題で登れなかった。

 

初登者との身長差とかで、どうにも相性の悪い課題はあるのは仕方がない。

課題が消滅してしまうのも、自然の物だから仕方がない。

それでも、100課題中、5課題を逃してしまうのは悔しいなぁ。

 

【遠山川】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「ケイユウ 初段」 ✖

f:id:climban:20201117144111j:plain

「ケイユウ」のあるイボイボ岩

この課題は、ハング部にあるアンダーカチから上のカチ、そこから左のリップから右のリップとダイナミックなムーブになりそうな感じなのだけど、いかんせんどちらのリップもフルスパン過ぎて、とった体でムーブを作ろうとしても動けなかった。

 

それなりに身長のある人なら、気持ちの良い距離感なのだろうけど、残念。

 

「キラーボーイ 初段」未トライ

f:id:climban:20201117144543j:plain

神楽の大岩は下地のほとんどが水没していた。

 こちらは上のイボイボ岩と違って、かなり大きい岩。

 

画像でうっすらと見える中間部のカチから、左のリップに出るようだけど、そこまでの距離も見るからに遠く、さらに下地もほとんどが水没状態だったのでトライしなかった。

 

100岩のトポにも「リーチ差が出る」と書いてあったので、これも向いてない課題だと思った。

 

余談だけど、身長をググって即座に表示されるクライマーは信頼できる気がする。

それが高かろうが低かろうが「それで戦っている」という包み隠さない自信を感じる。

 

因みに誰の参考にも希望の星にもなるでもない私の身長は165㎝。

とりあえず横リーチは置いておいて、同じ身長のクライマーは小山田大さんと野口啓代さん。

 

・・・なんも言えない。

 

遠山川のその他の課題はというと、大水でアンバマイカの岩の傾きが変わってしまったらしく、

「アンバマイカ 初段」「ちんちゃこ 初段」「千尋 1級」

の三課題は全て消滅してしまったよう。

 

河原のボルダーの宿命だけど、こういう事があると、岩の安定した硬質な花崗岩で、下地の変化も少ない小川山・瑞牆山などのエリアの貴重性が良くわかる。

 

小川山のエイハブ船長なんて初登から30年近く経っているのに、おそらく当時から大きくは変わっていないはず。

さすがにスタンスは磨かれてツルツルで、初登時より難しくなっているとは思うけど。

 

 

そんなこんなで遠山川はあまり相性が良くなかった。

いつか、リーチを補うパワーが付いたら、もう一度訪ねたい場所。

 

 

【城ヶ崎】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

お次は城ヶ崎。

東京からも比較的近いエリアながら、真冬でも天気が良ければ半袖で快適に登れるクライマーの越冬地。

 

実際、この旅で訪れた2月でも、その日が特別に暖かかったのもあるけど、朝6時から半袖で登ってた。

 

「モンスターマン 初段」〇

f:id:climban:20210202124001p:plain

文句なしにお勧めできる課題。

 

側壁ではなく、一個のボルダーとして鎮座している岩で特に限定(たぶん)もなさそう。

 

バンバンバン!と強度の高い数手を繋ぐボルダリングらしい課題で、好きな人は猛烈に好きなハズ。

私も下手の横好きながら好き。

 

下地が悪いので、マットは豊富にあった方が良いけど、少ないマットで挑んで、意外と悪い上部で緊張するのも心に残る登り方だと思う。

 

足を切って豪快に登ろうと思ったら、リップを保持し損ねてすっ飛んで、下にある岩に後頭部を強打しそうになったけど、猫背だから背中を打っただけで助かった。

 

その日は天気予報で気温が高くなる予定だったから、朝の短い時間で登り切れて良かった。

それでも、上部はぬめってすっぽ抜けそうで怖かったけど。

 

「悟空ハング 1級」×

f:id:climban:20210202124305p:plain

こちらは側壁を登る課題で、もともとはトップロープの課題。

下地の変化が激しい課題のようで、それによってグレードの体感は大きく変わりそう。

 

ロクスノNo.81に掲載されている写真くらいの下地を想像して現地に着いたら、想像とは違うハイボールが待っていた(笑)

 

ロクスノNo.81の写真より1.5mくらい下地が下がっていそうで、「なんてことなさそうだな」と思っていた課題が、「ヘタしたら死ぬな」になっていた。

 

参考までにYouTubeを見てみると、シーズンによっては下からハング部にあるホールドに触れた年もあるようだ。

 

そこまで下地が高いと、登った時の満足度が大きく変わりそうだけど、さすがに今シーズンは下がりすぎか・・・。 

 

それでもトライはしてみて、ハングの乗越に出るところまでは出来たので、覚悟を決めればできないことはなさそう。

 

ハングでヒールを掛けるムーブは怖すぎて無理だった。

地上から2m以上の場所で、背中から落ちそうなムーブは怖い。

 

これは再挑戦したい課題のひとつ。

だから、できれば下地はあまり上がって欲しくない。

 

 

遠山川・城ヶ崎ボルダーについては、この7つの課題が紹介されていて、その内の3つは、岩の傾きで課題が消滅し、残った2本は登れず。

城ヶ崎については、悟空ハングはできないムーブは無かったけど、高さに負けてしまった。

 

どちらも、1級&初段というグレード(というか課題?)の幅広さを感じ、さらに自分の実力に足りないものが多くある事を痛感したエリアだった。

 

 

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 フクベ・笠置山・鳳来

前回の更新からまるまる一か月以上空いてしまった・・・。

 

今回は岐阜県のフクベと笠置山。そして愛知県の鳳来。

 

岐阜の岩場と言えば笠置山というイメージだけど、関西方面からはフクベの方が近いから、岐阜といえばフクベの方がポピュラーなんだろうか?
こちらも笠置山のように、良く整備された岩場。

 

鳳来は良く名前を聞くけど、愛知県とは知らなかった。

どちらかというとボルダーよりリードのイメージ。


遊歩道を歩くと大きな岩がよく目につくから、きっかけ次第で新たな課題も沢山生まれるんだろうな。

 

どちらの岩場も、旅の疲れもあってあまり執着は出来なかった。
旅に出て3ヶ月程が経ち、疲れも相当に蓄積していたんだと思う。

 

6~7月に訪れた北海道ではその環境の良さからノーストレスで過ごせたから、「フリクションが良いから」と真冬に車中泊で岩場を回るのは、あまりお勧めしない。


【フクベ】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「バックドロップ 1級」〇

 

f:id:climban:20200906093401p:plain

バックドロップ落ちを何度か喰らったあとに、ムーブを変更して登った

フクベでは滞在した4日間中、3日間雨に降られ、登れたのは比較的乾きの良いこの課題だけ。

 

課題名通りの失敗するとバックドロップで落ちるムーブに執着してしまい、嵌りかけた。


リーチ差の出ないムーブに変更したらあっさりと登れたので、課題名がクライマーに与える影響は無視できないと思う。

 

そもそも真っ向勝負は苦手なクライマーなのに、身の程をわきまえてないから起きた失敗だった。


「鯰 1級」×

 

こちらも比較的乾きの良い岩だったからトライ。

みるからに苦手な垂壁バランス系。
左上の浅いポケットの持ち方がしっくりこず、乗り込みきれない。
スタートホールドからリップまでダイレクトに行くムーブは、距離が足らず。

好きでもない動きを何度も繰り返してる内に「オレ、何やってんだろ」と思い出し、どんどんモチベーションが下がっていき敗退。


「パープルパンチ 初段」未トライ

上で紹介した鯰の近くの課題。
こちらは乾きが悪く、ビシャビシャでトライせず。
見るからに難しそうだったから、強くなってから挑戦したい。


「エメル、チナツ、チハル 初段」×

エメル、チナツ、チハルとそれぞれ同じ岩にある別の課題だけど、わかりやすそうな「チハル」に的を絞ってトライ。
小さい岩だから、濡れているホールドを拭きながらトライしたけれど、雨上がりの湿度のせいかスローピーなホールドで体を上げきれずリップ取りで落ちるのを繰り返した。

 

その内にヨレてしまって敗退。
小さい岩で全パートをバラして練習できるから比較的登りやすいと思うのだけど、決めきれなかった。

次回、フクベを訪れる事があったら、この課題から登りたい。


「トリック 1級」×

見るからに苦手な垂壁バランス系(この言葉を使うのは何度目だw)

どうも思い込み的苦手意識というか、垂壁の課題は何度も失敗している内に、「リーチがあったらこのシンドイムーブを省略出来て楽なのになぁ」
と思ってしまうと執着してトライできなくなってしまうのは心の弱さなんだと思う。

 

こればかりはどうしようもないから、切り替えて何か別の解決策を探した方が生産的なんだけど。

でも、「別のムーブで登ったら低評価されるかも」とか、くだらない考えが頭の隅にチラリと横切るのもたしか。
人は人、自分は自分にならないとな。

 

 笠置山

 

「シュクラン 1級」〇

f:id:climban:20201010103234p:plain

シュクランは女性にも人気の課題

恵那笠置山ボルダーは、4、5年くらい前に麓の方で半年ほど派遣社員で働いていて、派遣会社の寮に住みながら(この時にネットで騒がれているレオパレス伝説は、全て事実だと身をもって知った) 笠置山ボルダーに通ったので、この課題は再登。

 

アンダーを使うという点と、上のクラック状は割と良いホールドという記憶しかなかったけど、なんとか二度目のトライで再登。

本当に良い課題。

 

「イルカ 1級」〇

f:id:climban:20201010103416p:plain

以前、笠置山に通っていた時は、公開されたばかりの里エリアに執着していたので、この有名課題を触った事もなければ見たこともなかった。

 

トポで場所を確認し、杉の植林内ながらも適度に開けたエリアに笠置山を感じつつ、岩の前で暫しオブザベ。

 

下から見上げるとリップ上は簡単そうに見えたから、アップついでにリップ越え~マントルを触るも、良さそうに見えたリップが絶妙に悪く、手を進めては降りるを三度くらい繰り返してからトップアウト。

 

万が一マントルで落ちたらこの辺かな~とマットの位置を調整して、下部をトライ。

 

前評判通り?に難しく、このブログを書くまでに時間が空いてしまったのもあって、何回目のトライで登れたか覚えていないけど、アップついでの上部の探りを含めて、5トライ以上、10トライ未満というところ?

 

保持力と柔軟性の両方が問われる試験的な課題だった。

 

この後は、昔こしらえた宿題を登るために里エリアに下って、里エリア最難の2級と名高い「ハサミコミ」をトライ。

f:id:climban:20201010103828p:plain

下地が悪めだけど岩がカッコイイ「ハサミコミ」

昔の宿題と言っても、前にトライした時は離陸すらできなかったから、上部を含めてムーブを作るところから。

 

下部はとにかくガンバるしかないから細かく探るのは諦めて、簡単そうに思えた上部で散々嵌り、ヨレ散らかしたところでようやく確実性の高いムーブが作れたから、スタートからトライ。

初手を止めて叫んで握りしめて完登。

 

グレードはアレだけど、コンプレッション系が好きな人にはお勧めな課題。

 

 【鳳来】

 

「たゆたい 初段」〇

f:id:climban:20201010105001p:plain

ポケットホールドの連続する鳳来のボルダー

被った迫力のある壁の、中央のスタートから弱点を突いて右のカンテにまわりこみ、カンテをトラバースして上部でトップアウトするライン。

 

いわばこの岩の一番簡単なラインなのだけど、それでも初段というのが、鳳来ボルダーの「修羅の国」感を漂わせる。

 

特徴的なガバワンフィンガーホールドが出てくる課題で、足も踏めるから持てるんだけど、まだ指の強くなっていないクライマーがやったら痛めそうな恐ろしい課題。

 

ロクスノNo.81の紹介文でも「ワンフィンガーの入門。まずはこれで指慣らし」というような事が書いてあって、実際に岩に触ると「にゅ、入門・・・」となる。

 

この日はこの課題一本しかトライしていないのに、危うく登れない所だった。

 

自分のムーブでは二手目にキョン足を使うのだけど、四国で痛めた足首がピキっという音と共に再度痛み出し、テーピングで固めてから恐る恐るのキョン足でムーブを繰り出してランジで叫んで完登。

 

話は変わるけど、このコロナ禍で岩場でも叫び難くなったから、絶叫系クライマーはパフォーマンスが落ちてそうな気がするけど、そんなの私だけでしょうか?

 

今は一人で登っている時しか声出さないし、ちゃんとその後入念にブラッシングしているつもりなので許してください・・・。

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 宮川・豊田

今回は三重県の宮川と、愛知県の豊田編。

 

これまで"○○地方"という括りだったのに、なぜか突然"○○ボルダー"というピンポイントの紹介。

 

だってロクスノでそうなってるから…(そればっか)

まぁ、この両エリアはそれだけ課題が豊富という事だと思う。


西から紹介という事で宮川ボルダーから。
今回の旅で初めて訪れたのだけど、川沿いの涼しげなエリアで西の御岳という感じ。岩質も似てる。


【宮川】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「パワーブレイン 1級」〇

f:id:climban:20200828095627p:plain

逆光で残念な画像

どでかいチョックストーンでインパクト抜群。


チョックストーンの課題にありがちな、左右の岩に足が当たりそうでが気になるという事もない。

 

上部のホールドが見た目より悪く、高さもあるので緊張する。

 

パワーブレインは身長によるけど背伸びいっぱいのスタートになるから、より下から始める「ハイパワーブレイン」の方が課題として美しいと思う。


いつか再訪した時には、「ハイパワーブレイン」もトライしてみたい。


「あめご 初段」〇

 

f:id:climban:20200828095742p:plain

「あめご」は最後まで気持ちの良い強傾斜課題

シーズンになるとSNSで「#あめご」というハッシュタグを見ない日はないというくらい人気の課題という印象。

 

今回、トライしてみてその人気も納得の課題だと感じた。

 

強傾斜に散らばるホールドは、各種フックを掛けておけば持てるという絶妙な効き。
ホールド間の距離も遠すぎず、リーチ差が出にくい。

 

実際に女性クライマーにも人気だった。

リップ取りがダイナミックなムーブなのも素晴らしい。

 

マットが豊富なのと、好きな動きのある課題だったから、セカンドトライ(ファーストトライでは逆光でリップ見逃し落ち)
で登れて、御岳育ちクライマーの面目を保ったか?


「黄色い鈴 初段」〇

 

f:id:climban:20200828095853p:plain

ダイアゴナル?で初手をとったところ

初手核心ということだけど、ダイアゴナル?というのか、アウトサイドで踏んで離陸するムーブでスタティックに初手を出せて、そのままフラッシュ。


いちおうフラッシュという事になるのだけど、こちらもマットが豊富で後半の微妙なホールドでのムーブが恐怖感なく起こしやすかったからかも。

 

課題は手順が幾通りもあり、使うホールドも人によって違い、ムーブを作る楽しさがある課題。
腕に自信のある人は登りながら修正して、少ないトライで登れると充実しそう。


宮川ボルダーは課題も多くてシーズンも長いみたいだから、近くに住んでいたら通いたくなる。


三重県の南には楯ヶ崎やナサ崎、熊野ボルダーもあるし、シークレットの岩場も多いみたいなので、恵まれた場所だと思う。

 

こういう場所に2~3年住んで、色々な課題を触ったら幸せだろうな。


【豊田】

 

はじめに注意しておきたいのは、これから紹介する各課題のアルファベットで表記される、いわゆる豊田グレードは知らないため、ロクスノで表記されていた段級グレードをそのまま表記する。

 

また、豊田ボルダーで登るのは今回の旅が初めてではなく、以前、数回訪れたことがあるのでその時に登った課題もある。

 

「サウンズグッド 初段」〇

f:id:climban:20200828100510p:plain

安全で、派手で、気持ちいい

2015年公開という比較的新しい課題。


豊田の岩場にはあまり詳しくないけど、小さな岩でバシバシ系の大きなムーブが楽しめる課題は豊田では珍しいと思う。


下地も良く、一人で来ても楽しめる。

 

ホールドは全てポジティブ。
ただ、かなりの強傾斜の中で数手を進めたのちに距離の必要なデッドがあり、持久力も試される。

 

ボルダーは平らに開けた舞台のようなところにあり、居心地も良い。


「ダイヤモンドスラブ 1級」×

 

以前、豊田に訪れた時にけっこう執着してトライした課題。

課題内容は言わずもがなの有名さなので省略する。

 

上部での恐ろしい手に足から上手く立ち上がる事ができず、そこが最高到達地点だった。

 

この課題は何人か人が集まるとゾロゾロと人が参入してくる課題なので、人が集まらないとずっと岩の前に誰も居ないような課題。


人が居ないときは独りでもトライしていたけど、着地で膝が壊れるかと思った。

これもいつか登りたい課題。

 

「俊トラ 初段」〇

 

f:id:climban:20200828100800p:plain

「俊トラ」は岩の弱点を突く課題でクライミングの本質を感じる

ハッキリとしたダイクに導かれて左上し、その後も岩の弱点を突いてトップアウトする素晴らしい課題。


初登が80年代後半ということで、その後も小さなホールドの変化はあったのだろうけど、ほぼオリジナル状態を保ってそうな印象を受けた。

 

希少な遺産的課題としていつまでも残り続けて欲しいと思える課題。

 

核心は人によって違いそうだけど、一番の核心はボルダーの場所を探すことかも。

 

因みに、グーグルマップで「俊トラ」と検索すると、誰か親切な人が登録してくれているので、現在地を確認しながらアプローチすると楽(このブログで唯一有益な情報)

 

「一難去って 1級」〇

 

小さなホールドで体を上げて小さなスタンスに立ってようやくガバスタンスだけど、それに乗り込むまでまた小さなホールドで引き付けないといけない課題。

 

指が結晶ホールドに適応できるかどうかっていう豊田っぽい課題。

 

この課題は旅に出る前に一度登っているのだけど、動画を撮るために再登しようと思ったら出来なかった。

九州のダイナミックバシバシ系課題に慣れ過ぎて、ますます緩傾斜が苦手になっているのか?

 

因みに隣の文明開化も昔登れているのだけど、今や岩を見ただけでちっともやりたいとも思わない。

 

「蛇の目 1級/初段」〇

 

これも昔登った課題で今回の旅ではトライしていない。

ホールドが欠けて少し簡単になった?という噂があるけど、登ったのは欠ける前。

 

相性が良い課題だったからかフラッシュできた。

トラバース課題で、マットが複数あって安心してトライできたのも大きい。

 

ホールドはほとんどポジティブで、少し遠いカチホールドへのランジが核心か?
そこがバチッと決まれば後は、マントルの高さはそれなりにあるけど、それほど苦労する所は無かったように思う。

 

 

と、ここまでがロクスノNo.81号で紹介された、宮川・豊田の課題。

 

愛知というか、中部地方は岐阜に笠置山、三重に宮川、がんばって南に足を延ばせば楯ヶ崎や熊野など、岩が豊富なエリアだと感じた。

東に行けば鳳来もある。

 

ごく個人的な事を言うと、豊田の岩場は限定とか初登ムーブとか言われがちな岩場なのであまり好きではないのだけど、今も開拓され続けているのは素直に凄いと思う。

 

 

 

 

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 関西・南紀編

今回は関西・南紀編。

f:id:climban:20200817102434j:plain

楯ヶ崎ボルダー

関西地方で括ると、和歌山県も関西に入るのだけど、ここはロクスノで紹介されている通りに表記する。


関西で紹介されているのは、兵庫県の北山公園と京都の笠置、奈良の御手洗渓谷。
南紀では和歌山県の日ノ御埼と三重県の楯ヶ崎とナサ崎。

 

結果から言うと北山公園は散々な結果で、京都の笠置は引き分け?御手洗は好きな岩質で気持ち良く登れた。
楯ヶ崎は二本中一本で、ナサ崎はトポを持っていないのと、さらに台風の影響で課題のある岩が変化してしまったらしく訪れていない。


外岩でボルダリングを始めたのが御岳ボルダーだったから、チャート質の岩が当たり前になっていて、2年目でようやく小川山で初めて花崗岩を触ったような気がする。
そもそも、岩を登るために東京から長野まで行くなんて事がまったく想像ができなかったし、御岳の「忍者返し」と「デッドエンド」が登れたら、ボルダリングという遊びを辞めようとすら思っていた。

 

それがいまや車中泊で日本を縦断しながら、全国の岩場を回ることになるなんて・・・。


いやはや、人生なにがどうなるかわかりません。

 

【兵庫】(課題名横の〇×は登れたか否か)

「北山公園 アドレナリンカンテ」×

f:id:climban:20200813100333j:plain

必死でカンテを保持しようとしたが…

スラブ傾斜で、スローピーなカンテを押さえながら登るバランス系。
登り方はいくつかあるようだけど、結局、最後まで自分に向いたムーブが見つけられなかった。

硬い靴と柔らかい靴の両方で試して、感触が良かったのが硬い靴の方。

これまでは足裏感覚がある靴が好きで使っていたけど、「靴を信じて立つ」という事も習得するべき技術の一つだと思った。


「北山公園 ガンフォー 初段」×

 

この課題は再登情報が少なくて登る前から警戒していたけど、予想的中という難しさだった。

序盤の左ガストンからの手に足ムーブという、肩力と柔軟性が問われるムーブが核心か?
というか、それより先に進めなかったから、その先にも難しい所があるかもしれない。

下地が狭く、岩と岩の間に落ちる感じになる。

初登時からチッピング&欠けたという情報を見たから、いまは初段というグレードではないのでは。

少なくとも、これを登って「初段だね」と言える人とは仲良くなれそうにない。


【京都】

「笠置ボルダー お目覚めマントル 1級」〇

f:id:climban:20200813095323p:plain

お目覚めマントルはペタペタ奮闘系

スタートから一、二手送って、マントル一発という課題。
岩も大きくなく、下地も砂地なので安心してバタ臭いマントルを返せる。

岩の上に回り込んで、マントルで使えそうなホールドを確認しておいたから、フラッシュできた。

地上3~4mで同じムーブをやれと言われたらけっこう躊躇するだろうから、マントルの練習に良い。
それこそ地上3~4mで同じくらいのマントルをさせられるのが、瑞牆山ボルダーの「猫頭ントル」だけど、あれ、怪我人出てないのかしら。


「笠置ボルダー 親指君 初段」×

f:id:climban:20200813100817j:plain

「親指君」の岩は写真で見たイメージより大きかった

超有名課題。
ボルダリングというのを初めて、まだ御岳も出た事ない時に雑誌か何かで目にした記憶がある課題。

あの時は「わざわざ岩を登りに関西まで行くことは一生ないだろうな」と思ってたけど、蓋を開けてみたらなぜか岩の前にいた。

けっきょく、第二親指(トライした事がある人にはこれで通じるのが面白い)が最高到達地点。

一緒になった他の岩場で三段登っているクライマーも、惜しいトライまではあったけど登れていなかった。

親指君を有名たらしめているのは、独特なムーブもそうだけど、グレードの辛さもあると思う。
「あの課題を登れたらけっこう凄い奴」みたいな。

少なくとも、これを登って「初段だね」と言える人とは仲良くなれそうにない。

 

【奈良】

「御手洗ボルダー ターターシン 初段」〇

f:id:climban:20200813101244p:plain

ターターシン

前半は岩の被った部分を、掛かりのよいホールドを大きなムーブで繋ぎ、中~後半は細かいホールドで耐えて足を上げていく複合的な課題。

 

ほぼ全てのパートをバラしで練習できるのと、御岳に似たチャートの慣れた岩質。
さらに、一緒になった方のアドバイスもあって少ないトライで登れた。

 

関西ボルダリンググレードの基本となる課題という情報を何かで見たけど、同じ関西でも花崗岩の岩場とのグレードの乖離を感じた。


「御手洗ボルダー ゴジョジュ 1級」〇

f:id:climban:20200813101344p:plain

一手ものが好きな人にはお勧め ゴジョジュ

ランジ一手ものだが距離が必要なランジではなく、ブラインドになるホールドを捉えられるかどうか、という課題。
肝心のランジも身長が170㎝前半もあればデッドで届きそう。

 

実はランジ以降が、意外と気を抜けない感じで面白い。

 

シーズンのよって下地の変化があるのかも知れないけど、マットを重ねないとスタートホールドに届かないのがちょっと…。


【和歌山】

「日ノ御埼 Younger than Yesterday 1級」〇  

f:id:climban:20200815074544p:plain

5mのルーフクラックが楽しい 「Younger than Yesterday」

 これも思い出深い課題のひとつ。

紀伊半島の最西端、紀伊日ノ御埼灯台の近くのボルダー。

 

こちらもトポを持っていなかったので、色々なブログの情報を頼りに岩を見つけた。

 

思ったよりアプローチが長く、海岸に転がる大きな岩を越えて行かないとならないので大変だった。

 

5mのルーフクラックから3mのフェイスの、持久力が試される課題。

 

上の画像でトーフックを掛けている所にブロック状の岩のチョックストーンがあったようで、それがゴッソリ取れてしまったよう。

 

元の状態を知っている人のブログによれば(ブログ情報ばっかですいません、友達が少ないもので…)前より難しくなっているよう。

たしかに、1級では辛いと感じた。

 

日ノ御埼は海岸に大きなボルダーがゴロゴロ転がっているから、トポがあったら他にも色々と遊んでみたかった。

 

トポを見ずに自由に岩を登るような気力は、もうこの時にはなかったなぁ。

 

「楯ヶ崎 ハテナ 初段」✖ 

 

f:id:climban:20200816105449j:plain

王子が岳には「ナテハ」という課題があるが、どっちが先なのか

その独特な岩の形状から、課題名の由来が一目でわかるのが面白い。

 

下地が岩盤&斜めで、核心がリップへのランジ。

何度かトライして、その恐怖から早々に敗退を決めた。

 

身長165㎝だと、蹴り足がパツパツで力が伝達が難しい。

 

後で知ったのだけど、課題を右寄りに抜けるランジと、左寄りに抜けるカチ経由の二通りがあるみたいで、左寄りなら可能性があったか?

 

でも、カッコイイのはランジなんだよな…

いつか、どちらも出来るようになりたい。

 

「楯ヶ崎 レリーフ左のクラック  1級」〇

f:id:climban:20200815080605p:plain

ジャミングとレイバックを交互に「レリーフ左のクラック」

これも思い出深い課題。

 

あまり完登情報を聞かず動画もないので、未知の課題に挑む楽しさがあった。

 

もともとボルダリングメインで登ってきたからジャミング技術に自信がある訳ではないけど、ジャミングはクライミングの原初を感じる技術だと思う。

 

だからってジャミングが好きで得意な訳ではないけど、そんな自分でも「これは絶対抜けない」というくらいジャミングが決まると嬉しい。

 

因みに、アプローチは30分くらいあるから、一人でマットを複数背負っていこうという人は心して掛かるべし。

 

「ナサ崎 スカイフォール  1級」✖

 

もともとハンドサイズだったクラックが岩がずれてクラックが広がり、リービテーション(この課題を検索していて初めてしった言葉)サイズのクラックになったらしい。

 

もともとクラックにはそんなに興味がないクライマーなのと、トポを持ってないからアプローチがわからないのもあって、岩場にすら行かなかった。

 

今考えるとちょっと勿体ない。

場所は三重県でも、熊野寄りでけっこう遠いもんなぁ。

 

この課題に興味がある人と一緒に行くのは楽しそうなんだけど。

 

日ノ御埼や楯ヶ崎は暖かくて、真冬の岩場という印象だった。

冬の車中泊でもそれほど寒くて辛いことはなく、九州&四国以外の越冬地の岩場としてもお勧めできる。

 

 

 

 

日本縦断ボルダリング旅総括 四国編

今回は四国編。

 

近年、全国のボルダラーから熱い視線を送られている四国。
行ってみてその理由が分かったような気がする。

 

まず、中国、近畿地方から陸路(安くない高速料金が必要だけど)でアクセスできるのと、東京からも飛行機で比較的アクセスしやすい事。
後は、四国のクライマーの地元愛からか、よく情報が発信される事。

 

この二つだと思う。

他にあるとしたら、グレーディングが適正と感じる課題が多いのも要因のひとつかも。

わざわざ時間とお金を使って登りに行くのだから、皆、気持ち良くなりたいでしょ。

 

辛いグレーディングは、百害あって一利なし。
○○(岩場の名前)グレードというのは是正されるべきだと思うんだけど。

 

【愛媛】(課題名横の〇×は登れたか否か)

 

「美川(仁淀川)ボルダー ガンダーラ 初段」〇

 

登った順ではなく、四国の西から東に向けて課題を紹介していく。

 

まずは、美川ボルダーのガンダーラ

f:id:climban:20200806092654p:plain

ガンダーラ」はもっとも思い出深い課題のひとつ

”美川”という名前に聞き覚えがなかったけど、どうやら高知県仁淀川愛媛県に入って上流で面河川(おもごがわ)という呼び名に変わるらしく、この辺りのボルダーも、おおまかに仁淀川ボルダーと括られているみたい。

 

なぜ面河川が美川になるかは知りません。

その辺りの経緯はトポに書いてあるのかも。

 

課題のある岩は、ハイボールと言っても差し支えない大きさで、迫力あるハングをかかりの良いホールドでぐんぐん登る。


充分に高度が上がってからの、リップ取り~マントルが精神的な核心で、登り切った時の達成感は格別。


マントル下見から、一度仕切りなおすために飛び下りた時に足首を痛めてしまったから、再トライが一週間後になってしまい、四国で一日で登れなかった課題はこの課題だけ。

 

ちゃんとマットの上に飛び降りても、マットが斜めだと足を痛めるという事を学んだ。

 

スポッターが居ればマットを重ねて貰うとか出来ただろうけど、そうもいかないのが独りの辛いところ。


幸い痛めた足の腱に異常はなく、いまはキョンもヒールフックも問題なくできる。


「鞍瀬川ボルダー テングス 1級/初段」〇

f:id:climban:20200806092815p:plain

鞍瀬川ボルダーで唯一登った課題。これ以外にも"安全で”面白そうな課題がある

比較的新しいエリアの課題で、7~8mくらいのハイボール

 

私が訪れた時はほとんど登られた形跡がなく、懸垂下降でホールドの掃除からしないとならなかった。

 

岩質も脆く、トライする前に各部の点検をお勧めする。

実際、掃除中にスタンスにしたホールドがポロポロと欠けたりした

 

トライ時のマットはメインマットが二枚だけだったから、「欠けないでね」っとけっこう祈るような気持ちで登った。


もっともハードなムーブは3級くらいだろうか。
でも、そのムーブを地上4~5mくらいの所で起こさないとならないから怖かった。

 

【高知】

仁淀川ボルダー 56の冒険」〇

f:id:climban:20200806093304p:plain

ブラインドになるホールドへの一手も面白い「56の冒険」

気持ちの良い強傾斜バシバシ系。

 

幸運にも3、4人のセッションに混ぜさせて貰ったのと、豊富なマット&手厚いスポットで少ないトライで登れた。

 

マントルもそれなりの外岩経験があれば問題なく返せるはず。

 

恐怖との戦いが多いボルダリング独り旅だけど、登っていて気持ち良いと思った課題にはだいたい充分なマットとスポッターが一緒だった。


独りで登った充足感も、多くの人と登った連帯感も、どちらも好き。

 

「大山岬ボルダー 緑 1級」〇

f:id:climban:20200806093647p:plain

青い空。白い岩。最高のロケーション

この課題も、セッションしてくれた方が居たから嵌らずに済んだ。

 

下地が岩盤で、さらにデッドムーブが連続するから、一人だとマットの敷く位置を調整しながら一手一手進めないとならなくて、解決までに時間が掛かってしまう。

 

また、高知の海沿いのボルダーは1月でも日が当たると暑くてヌメるから、すっぽ抜けそうなホールドは怖い。

 

課題の内容は素晴らしく、高知まで行くのだったらトライして損のない課題だと思う。
百と八つ~のほうがSNS的に映えるのはわかるけど…。


「日ノ御子ボルダー 鬼火消し 初段」〇

f:id:climban:20200806093811p:plain

日ノ御子一の人気課題!?「鬼火消し」

これも素晴らしい課題。


チャートのような石灰岩のような、詳しくわからないけど得意な岩質で気持ち良く登れた。

 

被った岩の最奥からスタートして、岩の弱点を繋いでトップアウト。


途中、がんばって距離を出さないとならない所もあるし、細かなホールドで耐えてムーブを起こさないとならないところもある。

 

ついでにマントルもガバガバじゃない。

 

ホールド間隔が遠すぎる事もなく、女子にも現実的な目標にできる課題というのも良い。


自分、フェミニストなもんで(点数稼ぎ)

 

 

と、ここまでがロクスノNo81の1級&初段特集で紹介された四国の課題。

岩の豊富な四国で五つというのは少ないように感じるけど、紹介者の守備範囲もあるのかも知れない。


ここで終わりにしても良いのだけど、文字数がちょっと少ないから四国で登った課題の一部を紹介する。


「美川(仁淀川)ボルダー ウスンマ 初段」〇

f:id:climban:20200806095948p:plain

大きな岩の上に乗った岩がインパクト抜群。
実際に登ると岩が脆く、けっこうな確率でギシギシ言うので怖い。

 

この課題は、登っている姿を高い所から望遠、もしくはドローンで撮ってもらう課題だと思う。

 

絵になる。


「日ノ御子ボルダー 神楽 初段」〇

 

珍しい石灰岩のボルダー。

石灰岩はユニークなホールドが多くて楽しい。
同じホールドでも、保持の仕方が人それぞれ違いそう。

 

高さもそんなにないから、大きい岩は怖いって人にもお勧め。


「西之川ボルダー 徐断煩」〇

f:id:climban:20200806100207p:plain

つるっとした青白い岩が印象的

スノーアタックV7のロースタートが「徐断煩」

スタンドのスノーアタックV7でも、ダイナミックなムーブから始まって面白いと思う。

 

西之川ボルダーは、水の透明度と河原に散らばる青石が印象的。


詳しいトポがあったら、色々と登ってみたいエリア。

 

四国では、今回訪れるきっかけのなかった徳島の立川ボルダーや鳴滝ボルダー、香川の遠見山など、まだまだ気になる岩場が多い。

 

次回訪れる時は、気楽な縛りのないクライミング旅として、一~二か月くらい四国で過ごしてみたい。

p